
D&I推進の理由「あらゆる業界、業種にお客様がいる」

――まずは、女性の活躍推進をはじめダイバーシティ&インクルージョン(D&I、多様性と包摂性)に取り組む理由を教えてください。
宮間氏(以下、敬称略) 当社の得意先は約2万社。あらゆる業界、業種にお客様がいらっしゃいます。その先に生活者がいると考えますと、広義の「お客様」は男性だけじゃないですよね。
仮にスーパーマンのような男性社員がいたとしても、「女性の気持ち」や「子どもの気持ち」まで、しっかり理解して提案できるとは限らない。
これはほんの一例ながら、競争力の向上に多様な人材の活躍が欠かせません。
「文明ノ業ヲ営ム」 印刷技術を核に広がった事業領域
――社名から想起するイメージとは別に、実はクレジットカードや交通系カードといった「ICカード」、茶系飲料をはじめとする「PETボトル用無菌充填システム」などで国内トップシェアだそうですね。エレクトロニクス部門で世界トップシェアの製品もあるとか。
宮間 それらは印刷技術を応用したものです。
当社は、今年2026年で創業150周年。前身である秀英舎は、「文明ノ業ヲ営ム」が舎則でした。この舎則のように、社会の変化に応じて「文明ノ業」を営んできた、といえるかもしれません。
今は「P&I(印刷と情報)イノベーション」と表現していますが、事業展開の核になっているのは、印刷プロセスに立脚した高度化された技術です。
実は、高度経済成長期の「3C(カー、カラーテレビ、クーラー)」の一つ、ブラウン管のカラーテレビも、「微細加工」という印刷技術が製品化のカギになりました。その後も、お客様との接点から「これは出来ないの?」といったご要望を受けるなどして、技術の広がりと共に事業領域を広げてきました。
DNP流「スポンサーシッププログラム」とは

――2025年度の「東京都女性活躍推進大賞」では事業者部門の優秀賞に。男性の育児休業の後押しなどと並び、「スポンサーシッププログラム」も評価されたと聞きます。どんな取り組みですか。
宮間 一言で言えば、次世代女性経営リーダーの育成を狙う、風土醸成も含めた取り組みです。当社は、会社法の「役員」(取締役と監査役)における女性比率を「2030年に30%にする」との目標があります。この比率は2025年6月時点で16.7%。達成には役員候補ともなる女性の上級管理職の育成が課題です。
スポンサーシッププログラムでは、対象となる管理職の女性1人に対し、2人の経営陣が成長を支援します。ここでいう「経営陣」とは社内執行役員以上の人です。
――それぞれの役割は。
宮間 1人は対象女性の人事権を持つ「スポンサー」、もう1人は対象女性と異なる部門の役員が担う「メンター」です。
前者は、具体的な成長目標を掲げてその達成という挑戦を促す「ストレッチ経験」を提供したり、社内外の人脈を紹介したりします。スポンサーは人事権を行使できるので、対象女性の異動も含めて計画的な人材育成が可能になります。
メンター役の役員は月1回の面談が必須

――活動のルールはありますか。
宮間 メンターは月1回は対象女性と面談します。スポンサーにも、月1回は面談機会を持ってほしいと伝えています。両者で対象女性をどう育てていくか、相談しながら進める形でスタートしました。
スポンサーは、「対象女性の経験値を高める上でどういう異動が望ましいか」など人事とも話します。
――面談の内容は。
宮間 経営陣主導ではなく、「対象女性本人が自身の成長課題やキャリアについて考えてきたことを起点に対話しましょう」と。そのほうがスポンサーにとっても、本人の意向を踏まえて、「それなら、こんな仕事はどうか」といった提案をしやすくなります。
選抜型の研修 対象女性の公表はない
――2024年度から、スポンサーシッププログラムで支援に携わる経営陣を社内役員全員に広げた、と聞きます。一方、女性管理職は2025年3月末時点で380人超。その全員が対象ですか。
宮間 いえ、選抜型研修です。初めて導入した2021年度は課長と部長の計10人。対象は毎年入れ替わり、2025年度は14人です。
――対象女性はどう決めるのですか。
宮間 スポンサーとなる社内役員の推薦を基に、人事で協議します。
当社の場合、「次世代経営リーダー育成研修」(上の図の右列最上段)は現在、5年に1度のみ。実施機会が限られます。このため、「支援を受けて成長した状態で同研修に参加できるように」などタイミングも踏まえて決定します。
決定後は、他の選抜型研修と同様で特に公表していません。
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