目次

超高齢化、人口減少と地方の衰退につながる課題克服へ、産学官連携による様々な構想やアイデアの社会実装が進む。「地方創生2.0」が「地域未来戦略」として本格稼働する中、地域活性化に一層の弾みを付けるには、都市と地方という硬直化した枠組みを突破するグローバルな発想と、それをリードする若い力が必要だ。日本経済新聞社が 2025年12月9日、東京・大手町の日経ホールで開催した「日経地方創生フォーラム」では、大正大学が進めている地方と世界をつなぐ新しい人材育成プロジェクトに焦点を当て、いま求められる「地域戦略人材」について議論した。(登壇者の肩書は当時)
【特別講演】付加価値創造型経済に舵を
石破 茂氏 前内閣総理大臣

我々自由民主党は、これまで一貫して地方の振興を訴えてきた。1972年には田中角栄内閣の「日本列島改造」があり、大平正芳内閣の「田園都市国家構想」、竹下登内閣の「ふるさと創生」と続いた。いずれも哲学を持った政策であったと認識しているが、一方でそれらは日本の人口、そして経済が伸び続ける時代の政策でもあった。
今は状況が全く違う。このまま人口減少が続けば、2100年に日本の人口は今の半分になる。そのとき自分はもう生きていないからいいや、ではいけない。人口が減り続ける時代においては、きちんと賃金を上げ、新しい商品・サービスを創出し、そのための投資をする。国を維持するため、コストカット型の経済から付加価値創造型経済へ大胆な経済政策転換が必要だ。
東京一極モデルに終わり
明治維新以降、日本は富国強兵をスローガンに、ひたすら強い日本を目指してきた。日清、日露、第1次世界大戦を経て、日本は世界5大国の仲間入りをする。それをけん引したのがヒト、カネ、モノすべてを東京一極に集中させる政策であった。
やがて、第2次世界大戦で敗れた日本は、「強い日本」から「豊かな日本」を目指す方向に舵(かじ)を切り、経済成長を優先し、戦前よりさらにドライブをかけて東京一極集中を加速させる。これがまた大成功し、1968年には国民総生産(GNP)が西ドイツを超えて世界第2位になった。64年の東京オリンピック、70年の大阪万博、72年の札幌オリンピック。日本が活気に満ちた時代だった。
それに終わりを告げたのが平成という時代だ。出生率が最も低い東京に若い人が集まるので、当然人口がどんどん減っていく。この流れを断ち切るには、どうするか。改めてこの国の価値観を変える時代に来ていると私は思う。
「強い日本」「豊かな日本」に続く3度目のキーワードは「楽しい日本」。今回の大阪・関西万博を提唱した故堺屋太一氏が語った言葉だ。当初、これに私はやや違和感を持った。しかし、結果として万博は大成功を収めた。
強さ、豊かさより楽しさ
地方にいま求められているのは、強さや豊かさよりも、この楽しさなのではないか。今風に「ウェルビーイング」と言い換えてもいい。そこにいて楽しいな、充実しているな、生きているな、そんな実感が得られる地域づくり、地方創生を目指したい。
これまでの日本列島改造も田園都市国家構想もできたらいいなとは皆思っていたが、できなければ国の将来がないとまでは考えなかった。今度の地方創生はできたらいいの話ではない。日本の価値観を根底から変えることであり、この国の持続可能性をどう引き出していくか。まさしく国民の命運をかけた課題であると私は認識している。
【開会挨拶】領域を超え課題解決
神達 知純氏 大正大学 学長

私たちが生きる社会は急速な人口減少や超高齢化に直面、地方の持続可能性が揺らいでいる。AI(人工知能)やデジタル技術の進化が社会の仕組みを変え、今日の常識が明日には通用しない。歴史的な転換点を迎え、あらゆる領域で新たな発想が求められている。
こうした時代では、1つの分野だけで課題を解決することは難しい。多様な立場の人が幅広く知見を持ち寄り、新しい価値を創造していくことが重要だ。地域の現場のリアルな声、デジタルを活用した新しいアプローチ、さらに若い世代の取り組みが交わることで、未来の地域づくりに必要なヒントが浮かび上がるだろう。
大正大学では近年、地域創生に関する研究、地域で貢献できる人材の育成に注力。その中で、高校から大学、社会へとつながる学びの循環が重要であることを実感している。若者が地域や社会、自然と向き合い、他と協働しながら課題解決に取り組む。本日の議論は、そうした学びの連鎖に新たな視座を与えることを願ってやまない。
【基調講演】デジタル力で地域活性
平 将明氏 前デジタル大臣/初代サイバー安全保障担当大臣

インバウンドの増加に伴い、東京のホテル価格はコロナ前の数倍に高騰している。グローバル価格で値段が決まるダイナミックプライシング(DP)が定着したためだ。
一方、それ以外の観光サービス価格は従来のまま。ここにブロックチェーン技術などを活用したDPを導入すれば、地方や地域が持っているアナログ資産の付加価値が高まり、地域経済の活性化につながるだろう。
ただ、やみくもに価格が上がると地元民の生活に打撃を与えかねない。それを避けるためにデジタル技術を活用し、住民には住民価格、インバウンドにはインバウンド価格というスマートな二重価格を実現する必要がある。
今後は、急速に進むAI技術を地方創生の分野にも生かしたい。すでに政府では政策立案にAIを活用するガバメントAIを構築中で、このローカル版を近く配布する。すべての人を一律に助ける政策から、困った人に困ったタイミングでサービスを届ける体制へ。その実現にデジタルの特性を最大限に活用したい。
セッションⅠ 地方創生の未来図
【講演】生活機能向上を優先
片山 善博氏 大正大学 地域構想研究所 所長

10年前の地方創生の目的は「人口減少を何とか食い止めたい」だった。これに対して2.0では、人口減は甘んじて受け止める代わり、ウェルビーイングの向上を優先させることの重要性を明確に打ち出した。
人口が減っても、社会や経済の機能を維持する。そのためには生産性を上げることが重要であり、時間当たりの成果物を多くする必要がある。そのカギを握る要素がデジタルだ。
私が鳥取県知事の時、予算編成で職員の机に積み上がった紙の山を見て驚いた。これは無駄だと直感、ペーパーレス化を専門業者に相談したが、想像以上にかかる時間と費用に諦めかけた。その時、自らの手でと名乗り出た1人の職員に任せたところ、紙の書類が激減した。
デジタル化実現の決め手は、その人が担当業務でもあった仕事の中身や流れを理解しており、しかもデジタルが使えたことだ。実際の構築作業では専門業者に頼る部分も多いが、業者に使われるのではなく、逆にリードできる人材を組織の中に育成することが非常に重要であることを学んだ。
【講演】情報科学部、4月発足
井上 雅裕氏 大正大学 情報科学部 学部長

現代は、IoTやAIが社会課題の解決に大きな役割を果たすなどスマート化が進み、文系と理系の枠を超えた文理融合型の人材が求められている。そんな時代の要請に応えるため、大正大学では26年 4月に情報科学部をスタートさせる。
同学部は2つの学科からなる。グリーンデジタル情報学科は、環境とデジタルの融合によって持続可能な社会を支え、地域と連携して価値を創出する人材を育成。またデジタル文化財情報学科は、地域の文化遺産をデジタル化して活用できる人材を育て、地域の価値を国内外に発信する役割を担う。いずれもプロジェクト型の学習法を導入。地域及びグローバルの課題解決ができる、高い倫理観を持ったデジタル人材の育成が究極の目標だ。
人材育成と併せ、地域のデジタル共生拠点として自治体、企業、住民、海外をつなぐ協働共創の場も新設する。すでに静岡県藤枝市のスマートシティー構想を立ち上げており、藤枝駅前に近く誕生するサテライトキャンパスをベースに、自治体や企業と連携しながら新たな価値創出を進めたい。
【討論】地方の魅力を世界の価値に
ブルックリン実習参加大学生
秋元 琢翔氏、和田 竜馬氏、眞里谷 育氏、古谷 彩乃氏、沼崎 来実氏
平石 洋介氏 大正大学 教授 〈ファシリテーター〉


平石 地方創生は奥が深く、あちらを立てればこちらが立たない難しさがある。そこに風穴を開けるには海外に目を向けることが必要だ。大正大学では、グローバル化をリードする人材育成の一環として、世界の地方文化の集積地ともいえる米ニューヨーク・ブルックリンに海外キャンパスを開設。現役学生を派遣し、日本の伝統、文化を紹介させるなどの実習を行っている。ここでは、プロジェクトに参加した学生のみなさんに、実習で得た成果を報告していただきたい。
ラーメン試食会が人気
沼崎 食べることが私の趣味。そこで「食」をテーマに手づくりラーメンキットを持ち込み、試食会を行った。評判は上々で、終了後のアンケートでは、全ての参加者が「自分でつくってみたい」と回答した。日本食の価値は創意、工夫、こだわり、繊細さなどにあり、海外で日本食を広めるには、文化の違いを理解し、現地の声を聞くことが重要であることを学んだ。
古谷 私は「文化」をテーマに、筆文字でデザインしたTシャツとスカーフのファッションショーを行った。ファッションと書道の融合という点では十分な達成感が得られる一方、少し書道作品の色合いが強かった。今後は地産地消や制作ストーリーなどを重視するブルックリン的要素も加えたいと思う。
眞里谷 私は仏教学部なので「心」をテーマに選んだ。大正大学の開発した修行ワークショップを開催、合掌や写経など僧侶の修行の体験を通して、仏教的ウェルビーイングが理解してもらえるかをテストした。再体験希望者も多く、参加者の理解の深さに手応えを感じた。今後はバージョンアップさせたプログラムの本格展開を目指したい。
秋元 「グローバルデザインのローカル商品開発」がテーマ。学生のかたわらアパレル店にも勤務する経験を生かし、現地のデザイナーとともに、地元巣鴨・大正大学のオリジナル商品開発を行った。共同作業では、それぞれ地域の歴史や文化を互いにレクチャー。地域を言語化することで自分たちの特徴を再認識する一方、共通点も確認できたことは大きい。

文化の共生を生み出す
和田 私のテーマは「グローバル実践型人材育成への挑戦」。多様な人種や文化が違和感なく共存している街、ニューヨーク・ブルックリンで、日本人であることの強みを大切にしながら世界的な価値を生み出す多くの方々と出会い、貴重な話を聞かせていただいた。日本発の商品やサービスも世界で成功するには、文化の共生がキーワードになることを実感した。
福島 私ども東京・巣鴨駅前商店街にも26年4月、大正大のニューヨークパートナーであるブルックリン商工会議所企画の「ブルックリンメイドストア」が期間限定で出店する。当初は「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨になぜ最先端のブルックリンなのか戸惑ったが、関係者と話を交わすうちに、地元愛や古き良きものを大切にする感性は共通することに気付いた。今後は、両者の本質である価値や伝統を尊重、融合させながらつながることで生まれる新しい変化に期待したい。
平石 ブルックリンキャンパスは、海外展開の肝であるグローバル、カルチャー、エデュケーションの三位一体を集約する文化交流拠点。学生の力、教育者の知見、蓄積した知的財産をフル活用して地域創生の一翼を担いたい。
セッションⅡ 大地震と地方創生
【講演】場づくりが地域創生の出発点
阿部 忠義氏 大正大学地域構想研究所 南三陸支局研究員

私たちは「被災地から『学びのフィールド』へ」という思いを胸に、人が集まる場、共感する場をつくり、地域を盛り上げ、活力を生んでいくことをテーマに、14年間頑張ってきた。
震災当時、南三陸町の職員だった私が配属先の入谷公民館で大正大学の皆さんと出会ったことが、現在の交流事業につながっている。大学の支援もあって、南三陸のマスコットキャラクター「オクトパス君」の再生プロジェクトが立ち上がり、廃校になった校舎を工房として利用した。ものづくり体験のために体育館もお借りして、今は年間4000〜5000人を受け入れている。
ボランティアの方が都会では味わえないコミュニティーの場として、リレー方式で農を守っていくための工房も立ち上げた。2013年3月にオープンした「南三陸まなびの里いりやど」は、毎年、学生や企業の研修などに利用してもらっている。
このたび、21年に立ち上げた入谷の里山活性化協議会が、25年度「農林水産祭むらづくり部門」で、日本一となる天皇杯を受賞した。天皇杯はゴールではなく、君たちならもっとやれるという天からのシグナルだと感じており、協議会のメンバーはさらに意気込んでいる。
次のステージへの招待状だと受け止め、今後も南三陸を若者に可能性が見える地域にしていくためのさまざまな展開を継続し、地域戦略人材の実習フィールドにしたい。
【プレゼンテーション】学生がつなぐ南三陸との縁
大正大学 学生・卒業生

大正大学の卒業生と在学生が、南三陸町での取り組みを発表。地域創生学部の1期生として、地域実習で足湯カフェを実施した丹菊龍也氏は宮城県に移住し、地域コミュニティーの場となる銭湯の開業を目指す。同期生の星野洸太氏は、卒業後も続く地域や世代を超えた人々のつながりを紹介した。実習で野外カフェを開いた2期生の那須彩乃氏は、将来の夢やまちの未来を語りあう高校生たちの姿に刺激を受けたと語る。
一方、在学生は近年の「二拠点生活から地域創生を考える」、「地域おこしとは何か」をテーマにした取り組みを報告。「地域おこしとは、地域資源を活用してくれる人が挑戦できる場所をつくること、地域内の自然と人の持続可能性を高めることだと思う」と締めくくった。
【討論】若者が可能性感じるまちに
阿部 忠義氏
大正大学 学生・卒業生
丹菊 龍也氏、那須 彩乃氏、星野 洸太氏、佐藤 礼真氏、三森 幹太氏、野沢 奏氏、上村 香織氏(大学職員)
外川 智恵氏 大正大学 表現学部 メディア表現学科 教授 〈ファシリテーター〉
地域実習で交流深める

外川 大正大学では地域創生学部の取り組みの一環として、南三陸町で実習を行っている。実習を通して、学生に大切にしてほしいことは。
阿部 長い期間を南三陸で過ごすのだから、一人でも多くの地域の人と知り合い、親しくなってほしい。それが大切なポイントの一つだ。
外川 学生の皆さんは、地元の方にすぐに受け入れてもらえた感覚はあったか。
星野 まちの人々に快く受け入れてもらえたのは、上村さんや阿部忠義さんが、震災当時から関係性を築いてくださったおかげだと思う。
那須 大正大学の学生というだけで地域の人々に認知されるので、その環境整備はとてもありがたかった。
野沢 1期生の先輩方がつないできた伝統があるからこそ、温かく受け入れてもらえたと思う。
共感がきっかけになる
外川 若者が集う場所に、キーワードがあるのでは。
上村 「人」がキーワードだと感じている。人がそこにいるだけで生まれるものがある。震災当時、ボランティアのジャンパーを着ていると子どもたちが集まってくれたり、大正大学の活動が地域に浸透していると実感できた。
物的支援だけでなく、人が何かをもたらすことができたのではないかと、大学の一員としてうれしく思う。
野沢 震災のイメージが強かったが、実際に行ってみると、まちの人々の元気があってこそ今の南三陸があると感じられて、刺激を受けた。
三森 私は、ありのままの姿をありのまま表現できる環境が、キーワードになっていると思う。実習を通じて、この地域ではありのままの自分を表現してもいいんだと感じられ、自信につながった。
佐藤 地域おこしは挑戦したいと思わせる場所をつくることだと思うが、最初は忠義さんのように前を向いてがんばっている人がいて、多くの人が共感し、輪が広がり、受け入れ体制ができていく。それに感銘を受け、このまちで何かしたいと思う人が増えていくのだと感じた。
星野 共感できる物語やコト、モノ、ヒトがその中にあることが、若者が集まるきっかけの一つになると思う。
那須 私は人の熱い思いに人が集まるのだということを、強く感じた。
丹菊 南三陸は自分にとって、夢を持たせてくれた場所。そういう人がいるまちはやっぱりいいなと、改めて南三陸の良さを感じた。
阿部 震災によって、普通の生活が本当はぜいたくだったということを知らされた。色々な人に感謝の気持ちを持つことを忘れないでほしい。
今回のディスカッションで、若者が可能性を感じる地域にしていかなければならないと改めて考えている。南三陸っておもしろそうだな、とワクワクするようなまちづくりに、微力ながらこれからもまい進していきたい。
セッションⅢ 離島と地域活性化
【講演】持続可能な島づくり
三木 剛志氏 日本離島センター 事務局長

日本全国の島の数は1万4125島。うち417島が有人島で、306島が離島振興法等の対象となり、振興が図られてきた。この306島の人口規模を見ると全体で約57万人、人口500人未満の島が約75%を占める。65歳以上の高齢化率は約37%と高く、全国の人口動態の傾向を15年ほど先取りしている状況だ。
日本離島センターは、北海道礼文町から沖縄県与那国町まで136市町村で組織する団体だ。島ガイド『シマダス』や広報誌『しま』などの刊行、各種イベントを開催し、リーダー養成短期研修「しまづくり人材養成大学」は延べ2000人以上が参加してきた。
2021年に大正大学と包括連携協定を結び、離島の共通課題を学ぶ研修「しまづくりサミット」、22年度からは全国の島の高校生対象オンラインワークショップ「アイランダー高校生サミット」を定期開催。離島人材育成基金助成事業では島づくり活動を支援し、これまで約500件の人材育成プロジェクトに助成してきた。今後も持続可能な島づくりを展開していく。
【講演】学び通じ島を元気に
岸田 徹氏 ネットラーニング 代表取締役会長

当社は約1万7000のeラーニング講座を開設している。離島の教育・学びを通じた地域振興にeラーニング活用は大きな役割を果たすと考えている。
私は八丈島に住んで22年になる。離島の人口減少と過疎化が進んでいるが、八丈島も10年間で人口が15%減少しており、全国平均3.1%減をはるかに上回っている。しかし2023年にテレワークや起業、就農などで中堅層による転入が転出を上回り、社会増の兆しが見えてきた。離島の持つたくましい自立力、強い人的ネットワーク、社会システムを発信して成功事例をつくりたい。
その取り組みの一つが、私が校長を務める社会人のための学校「八丈島熱中小学校」だ。これまで地元住民や著名人などが講義を行い、八丈島内外の多様な人々が参加し、学んできた。第6期ではいよいよAI講座を始める。
移住者を積極的に受け入れ、島の住民と共に地域ネットワークをつくり、食料自給、起業、リモート、AIなど世界に直結する新たなスタートを切っていきたい。
【討論】島らしさ発信し内外を活性化
佐々木 加絵氏 YouTube「青ヶ島ちゃんねる」運営
増本 美香子氏 沖の島町専任アンバサダー(高知県宿毛市公認)
IMALU氏 タレント
山本 繁氏 大正大学 特命教授〈ファシリテーター〉


山本「離島活性化大作戦」と題して離島をテーマに公開作戦会議を行う。この国自体が島国であり、このアイデアが様々な地域の良きヒントになればと思う。まずはデジタルやIT(情報技術)、AIを活用したアイデアを伺いたい。
アプリやSNSを活用
板垣 他の離島の高校生と交流する中で、各島が抱える課題は共通することに気づいた。そこで、離島特化型アプリケーションの開発を構想している。主な機能は島専用の仮想通貨だ。「月別アイランキング」で観光地や特産品をランク付けし、上位にポイントを付与。獲得ポイントは島ファンドとして各島のプロジェクトに投資できるシステムだ。島全体で1つの組織として高め合えればと思う。
IMALU 私は3年半ほど前に奄美大島に拠点を置いた。奄美の人はよく飲酒するが、タクシーは断られることも多く、代行や知人の送迎に頼っている。大きな島なので代行業者は中心街に集中し、到着まで1時間以上待つこともあり、毎回帰れるのか賭けのような状況だ。代行アプリがあれば、車の位置情報から効率的な配車やシェアタクシー的な利用が可能だ。島民が地元の店を気軽に利用でき、飲食店も活性化するだろう。
増本 沖の島は高齢化率80%、人口約100人の小さな島だ。観光客が増えすぎても受け入れが難しいので、SNSでは島のスローライフを提供するスタンスでPRや日常発信をしている。最近では都会での生活に疲れた人などがゆったりと島時間を過ごすケースが増えてきた。
佐々木 私は6年前、生まれ育った青ケ島に帰郷した。SNSやコワーキングスペースをはじめ、登録者数22万人のYouTubeでは実家の民宿などの日常を発信している。人口約160人の青ケ島は集落が小さくまとまるコンパクトシティーだ。2021年には光海底ケーブルが開通、ネットが非常に速い。リモートワークで移住する人もいる。島の農業や畜産でのAI活用にも期待している。
AIで離島ハンディ克服
岸田 AI時代には誰もが新たなスタートラインに立ち、自分でAIを使いこなす必要がある。離島だからと制約を受けず、ネット経由で学べる生涯学習の時代になった。島での農業や漁業、観光業も、起業にもチャンスがあり、みんなで取り組むことが大切だ。
山本 より広い視野に立った離島活性化のアイデアは。
板垣 私は離島の海洋未利用資源に着目した。奥尻島のウニの殻から色素を抽出して染色する事業に取り組み、現在商品化を目指している。
増本 私と同じ地域おこし協力隊出身で起業した人が、沖の島の海水から天日干しで塩を製造している。この塩業を活用して島活性化へつなげたい。空き家事業や離島留学についても検討中だ。
佐々木 青ケ島のキャラクター「ひんぎゃちゃん」を足掛かりに、例えば御朱印帳のように「御島印長」を作成して、各島のキャラクターのスタンプラリーも考えている。
岸田 東京農業大の学生との「八丈島畑プロジェクト」では、頻繁に農地に来られなくても遠方の人が自然農法で農業ができるよう実験的に取り組んでいる。学びと交流の拠点「コーヒーハウスLL」も運営。八丈島を喫茶店で有名な島にしていきたい。
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