暗号資産取引サービス「Coin Estate」を運営するFINX JCrypto(フィンクス・ジェイクリプト)。暗号資産取引サービスに加え、ブロックチェーン技術を応用した様々な企業向け金融サービスを提供している。同社の陳海騰社長が2026年3月に開かれた「FIN/SUM2026(フィンサム2026)」に登壇し、「AI時代における企業の暗号資産成長戦略――トレジャリー、株主優待、暗号資産決済の最前線」と題して講演した。

暗号資産が企業の金融基盤として確立へ
代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコイン(BTC)は2025年10月に一時、史上最高値の約12万5000ドル超をつけました。現在は下落傾向にありますが、価格転換期だった2013年は100ドル程度だったので、長期的に見ると非常に大きく上昇しています。
ご存じの通り、ビットコインは発行可能な総量があらかじめ決まっており、おおよそ4年に1回の周期で新規発行量の半減期を迎えます。つまり、仕組み上の価格サイクル(=価格変動リスク)が存在するわけです。他の金融商品と同様に為替変動リスク、流動性リスクなどのリスクもあります。過去も上昇したからといって、将来も必ず同じように上昇するとは限りません。
そんなビットコイン、暗号資産の世界ですが、最近は機関投資家の見方・態度が大きく変化してきました。一例を挙げれば、米銀最大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は2017年、「ビットコインは詐欺だ。いつか終わる」と猛烈に批判していました。しかし同氏はその後に態度を一転。2025年には「暗号資産は現実的な存在」と述べるようになったのです。
暗号資産はすでに、そのテスト段階を終えたと言えるでしょう。金融ビジネスは今や、暗号資産を取り込まないと成長が期待できない「暗号資産2.0」に入っています。1.0の時代は売買中心で価格重視、新興資産という位置付けでした。2.0では、財務や決済、担保、運用といった機能が重視され、金融基盤としての役割を担っています。

取引の主役も個人から法人へと移っています。1.0時代には個人投資家が短期の売買取引を行い、ボラティリティー(変動率)も許容される存在でした。今後は事業法人や金融機関が主体となって、長期の財務戦略や資金管理のためにリスク管理やガバナンスが重視されることになるでしょう。
ビットコイン保有企業は米国が中心
ビットコインなどを自社の資産として保有し、運用する企業を「暗号資産トレジャリー企業」(Digital Asset Treasury Companies=DAT企業)と呼びます。私たちの調べでは、2026年2月時点の世界のDAT企業は上場企業193社、非上場企業73社。全体の保有総額は約971億ドルで、約15兆円に達しています。
トランプ米大統領は暗号資産利用促進の大統領令に署名し、「米国を暗号資産の首都にする」との方針を示しています。ウォール街の大手金融機関は、すでにビットコインETF(上場投資信託)への投資を拡大しています。例えば、米資産運用大手のブラックロックのETF「iShares Bitcoin Trust」は約79万BTCを保有。同じくフィデリティ・インベストメンツは、ビットコインを現物保有するETF「Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund」を提供しています。

企業別のビットコイン保有額ランキングでは、上位のほとんどが米国企業。代表的なのはストラテジー(旧マイクロストラテジー)で、2026年2月時点で約71万BTCを保有しています。他にも電気自動車のテスラやビットコイン採掘企業のアメリカン・ビットコインなどが積極的に保有しています。
一方、日本のDAT企業ではメタプラネットが有名です。2025年末時点で3万5000BTCほど保有して世界第4位。同社は2024年から積極的に購入を続けており、売り上げは好調で株価も過去5年間で大きく上昇しました。特筆すべきは株主数の拡大で、2023年には1万人ほどでしたが2025年末には約21万人まで増えています。

構造変化の初期段階にいる日本企業にも勝機
暗号資産は企業経営において、様々な活用法があります。化粧品製造販売のアクシージアは、株主優待としてビットコインを贈呈しました。また、シェア別荘兼ホテル運営のNOT A HOTELは不動産の分割所有とデジタル技術を組み合わせた新しい資産モデルとして注目されています。
こうした動きは、資産とデジタル技術を組み合わせることで新たな流動性や価値を生み出す試みとして、金融分野でも関心が高まっています。
AIの急速な拡大・浸透によって、企業経営における暗号資産の位置付けも変わってきました。AIはこれまで金融ツールとして使われてきましたが、今後はAIエージェント同士が主体となって取引を行うようになるでしょう。暗号資産はその決済インフラとしての役割が重視されていきます。グローバル経済では、実存する不動産や債券、ファンド、コモディティーなどがオンチェーン化される動きも加速。金融資産の形そのものが変わり始めています。

暗号資産2.0の世界について、日本企業の多くは慎重な姿勢を取っています。言い換えれば、日本企業は大きな構造変化の初期段階にいるということ。金融の前提が更新されつつある今、通貨や決済、資産管理、流動性の在り方が同時に変わっています。変化の最中にそれを認識・理解できた企業こそ、次世代の市場をリードすることができるでしょう。
意思決定を難しくしている情報の整理不足
多くの企業が「暗号資産に関心はあるものの、何から始めればよいのか分からない」という段階にあります。私たちFINX JCryptoが考える、暗号資産を財務戦略に組み込む際に企業が直面する壁は、会計処理・内部統制・保管体制・リスク管理・規制対応の5つです。意思決定を難しくしているのは情報不足ではありません。整理不足です。正しく整理するためには、5つの壁を横断的に理解する豊富な実務知見が不可欠です。
私たちは企業が直面する5つの壁に対して、実務レベルでのサポートを幅広く行っています。トレジャリー設計支援や株主優待設計、暗号資産の決済導入や上場支援、グローバル取引サポート、Web3事業立ち上げ支援、株式販売サポートなどです。すでに多くの実績があり、現在も複数の暗号資産について上場支援を進めています。

暗号資産の導入は、単に売り上げ拡大や株価対策のための施策ではありません。ブロックチェーン技術を活用して、自社業界を変革することを意味します。本格的に動くべき時は、すでに来ています。私たちと一緒に、このチャンスをつかんでいきましょう。
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