目立った予兆を示さないで経営破綻や事業打ち切りに至る「いきなり倒産」のリスクが高まってきた。主な理由は不確実性の高まり。物価上昇と人手不足のあおりで、先行きの見通しが立ちにくくなってきた。加えて、トランプ米大統領の気まぐれ的な政策が影を落とす。不祥事や後継者難も「突然死」につながりやすい。想定外の倒産に対する備えや、危うい企業の見抜き方を、倒産事情に明るい帝国データバンクに教わった。(前回の記事<「トランプ倒産」に現実味 業種超えた破綻リスクに備える>)

輸入車に対する関税政策や円高で大幅減益見通し
トランプ米政権の関税政策が日本企業の収益予想を揺さぶり始めた。ホンダが発表した2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)は前期比70%減の2500億円の見通しだ。トランプ米政権の輸入車に対する関税政策や円高を織り込んだ数字だ。
通期の想定為替レートを1ドル=135円と、前期実績に比べて円高に設定したのも減益の要因だ。他の通貨を含めた為替変動の影響は4520億円の減益と見積もる。為替レートの円高見通しにもトランプ政策の影響が小さくない。
帝国データバンクはトランプ政権が発動した相互関税が日本経済に与える影響を予測した。90日間の一時停止を経て、日本に24%の相互関税が再び発動する場合、2025年度の倒産件数は1万574件と、従来予想より3.3%増えると見積もっている。帝国データバンク東京支社情報統括部情報編集課の内藤修課長は「米国景気が後退した場合、さらにダメージは大きくなる」と警戒感を示す。
日産自動車が発表した7工場の統廃合と従業員2万人の削減は衝撃をもって受け止められた。2026年3月期の利益予想を算定できず、未定と発表したことも、先行きを見通す難しさを印象付けた。深刻な売れ行き不振に、トランプ政権の関税政策が追い打ちをかけた格好だ。
日本の自動車メーカーは円安効果で利益を積み上げてきたが、トランプ関税はこの流れを逆転させつつある。強みだった米国市場はむしろ弱みとなり、収益を圧迫させる気配だ。2025年1月の大統領就任まで日本メーカーを支えた「利益の方程式」は過去のものとなりつつある。
もうけを支える構造が崩れれば、財務体質が一気に悪化しかねない。市場の蒸発、制度の変更、評価の急落などは企業の「突然死」につながる。日本の自動車メーカーが直面する、米国市場を取り巻く情勢の変化は破壊的とも映る。部品メーカーやディーラーなど関連業種の裾野が広いだけに、「打撃の波及は計り知れない」(内藤氏)。
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