
菓子業界で主役交代劇が起きた。グミがチューインガムを追い落とし、「噛(か)む系」の菓子カテゴリーで王座に就いた。スーパーマーケットやコンビニエンスストアのレジ周りではグミのスペースが広がり続けている。「お口の恋人」とまで呼ばれたガムがしぼんで、グミが取って代わったのはなぜか。1980年代から続く「40年戦争」の勝因・敗因を探った。
国内市場規模は1000億円の大台に
かつてスーパーやコンビニのレジ近くの売り場はガムの牙城だった。クールミント系の板ガムやフルーツ味の角形ガムなどがずらりと並んでいた。支払い間際に好みのガムを手に取る人が少なくなかった。
しかし、過去5年ほどのうちにレジ周りの景色は様変わりした。ガムの居場所は縮んで、入れ替わるかのようにグミの存在感がアップ。今では多くの売り場でグミが主役の扱いを受けている。
国内グミ市場の規模は2024年段階で1000億円の大台を超えた。以後も成長が続いている。ガムに大きく水を空け、もはや優勝劣敗は明らかだ。近年は大手菓子メーカーがガムから手を引く動きも見え始めた。
近年になって売り上げが一気に拡大した背景には、購入者の年齢層が厚みを増したことが大きい。子ども時代に食べた経験を持つ世代が大人になってからも買い続けたことによって、幅広い年齢層がグミの購入者になった。
「幼い頃から食べ慣れた大人が増えてきた」。カンロのマーケティング本部副本部長の木本康之氏は約40年にわたる、日本での市場開拓を逆転劇の理由の1つに挙げる。子ども時代から食べ続けた親が自分の子どもにも買い与えるようになり、世代を超えたグミ好き体験が受け継がれている。
ドイツ語で「ゴム」を意味する言葉が由来
グミはドイツ発祥とされる。名前もドイツ語で「ゴム」を意味する言葉が由来だ。砂糖や水あめに果汁やゼラチンなどを加え、適度に固めて作る。クマをかたどったグミで有名な独ハリボー社が1920年代に売り出したのが始まりという。子どもの噛む力を養う狙いがあったそうだ。
日本には1980年代に持ち込まれた。しかし、最初からヒットしたわけではない。長い助走期間が続いた。
カンロが甘酸っぱくてフルーティーな味わいの「ピュレグミ」を売り出したのは2002年。大人向けの市場を開拓し、約四半世紀をかけてトップブランドに育てた。
グミのマーケットが拡大した過程では大人女性向け商品の貢献が大きい。「ピュレグミ」は「すっぱいパウダー」と「果肉食感」が大人女性層から支持を得た。子ども向けが多かった国内グミ市場に大人女性層を呼び込んだ立役者だ。
コロナ禍でガム需要に吹いた逆風
国内市場でグミがガムの市場規模を上回ったのは、2021年ごろだといわれる。新型コロナウイルス禍の最中に当たる時期だ。
コロナ禍の広がりはそれまで「噛む系」の王者だったガムにとって強烈な逆風となった。外に出て人に会う機会が減ったことに伴って、スーパーやコンビニでガムを買う頻度も下がったからだ。
もともとガムを買う主な目的の一つとなっていたのは、口臭を抑えるブレスケアだ。マウスウオッシュ液と並んで、エチケットと捉える人が多かった。粒状のタブレット菓子は今でも手軽なブレスケアの役目を受け継いでいる。
同僚への気遣いでガムを仕事中、口に入れるビジネスパーソンは珍しくなかった。オフィスの机に常備しておきやすいボトルタイプも支持を得た。しかし、感染リスクを避けて出勤ペースが下がり、ブレスケアのニーズも細った。
かつては喫煙者がたばこのにおい消しにガムを用いるケースがガムの需要を支えていた。だが、喫煙率が下がり、職場での喫煙スペースが減って、たばことひも付いたガム需要も落ち込んだ。
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