
金融サービスに新しい情報技術を積極的に取り入れて、付加価値の高い新たなサービスを提供するフィンテック。前回の記事「フィンテックとは何か? 金融サービスで革新が起きたワケ」では、国内外の事例を紹介しながらフィンテックが生まれた背景について説明した。今回はフィンテックを語る上で欠かすことのできない重要技術「ブロックチェーン」について解説したい。
分散的に情報を管理する非中央集権的な技術
ブロックチェーンは暗号資産(仮想通貨)のビットコインを支える技術として考え出されたが、現在は分散的に情報を管理する新しい仕組み「分散台帳技術」とほぼ同義に扱われることが多い。この技術は英語で「Distributed Ledger Technology(DLT)」と呼ばれる。DLTは従来の中央管理型システムのように特定の主体が取引情報などの記録を帳簿(台帳)に反映する作業を一手に引き受けるのでなく、複数の主体による合意(コンセンサス)に基づき、情報を台帳に反映させる非中央集権的な技術である。
人類の歴史において、物事の動きを記録し台帳を管理するというのは極めて崇高な仕事だった。例えば、古代エジプトでは王権と深く結びついた書記官が国家運営に必要な記録を作成できる権威ある職業だった。DLTはこうした業務を「ファラオ(王)の権力」といった中央集権的な発想から180度転換するものだ。
ではどのようにして複数の主体が合意を形成し、台帳に記録を反映するのか。まずは中央管理型システムの代表例である預金の例に考えてみよう。私たちは預金口座を通じた資金のやり取りは、口座を管理する銀行が責任を持って記録する前提で暮らしている。同じ銀行に口座を持つA氏がB氏に送金した場合、銀行はA氏の預金残高を減額してB氏の残高を増額するように預金台帳を更新する。かつては紙に記録していたが、現在は勘定系システムと呼ばれるホストコンピューター上で記録が更新される。
利用者の合意形成によって台帳が更新されるビットコイン
次にDLTの代表例としてビットコインのブロックチェーンについて見てみる。ビットコインは発行主体がいない仮想通貨である。このため、A氏が所有するビットコインを自らのウォレット(電子財布)からB氏のウォレットに移転しようとしても、預金台帳を管理する銀行のような特定の主体に記録を更新してもらうことができない。
ビットコインでは誰でも参加できるインターネット上で取引が行われるため、そのネットワークに参加している一部の利用者(ノード)の間で取引承認という合意を形成することで台帳の更新が行われる。
ノードは1件ずつの取引を承認するのではなく、複数の取引データを束ねた「ブロック」を作り、そこに含まれる記録について利用者の間でコンセンサスを形成し、真正な記録を反映した台帳が共有される。ブロック「チェーン」と呼ばれるのは、こうした記録の束であるブロックが数珠つなぎになっていることによるものである。
具体的にブロックはどのようにして作られるのだろうか。実は「マイナー(miner)」と呼ばれるノードが新しいブロックを作り出す作業を担っている。一口にブロックを生成すると言っても、取引データを寄せ集めれば済むといった単純な作業ではない。マイナーはコンピューターを駆使し、これらの記録に「ナンス(nonce)」と呼ばれる数値を付け加えたデータの塊をハッシュ関数と呼ばれる特殊な関数に投入するという複雑な計算を繰り返し行っている。

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