「この働き方をずっと続けられるだろうか?」、ふとそう感じたことはありませんか? 『70%で働く』の著者の佐野創太さんは、介護離職とこれまで1500人以上のキャリア相談を担当した経験から、「仕事と生活、どっちをとるか!?」の2択ではなく、どちらも大切にしながら心地よく働く選択肢を見いだしました。今回は、働き方の主導権について、本書から一部抜粋し、お届けします。

あなたの体内時計は、「仕事と自分」、どっちがメイン?

(写真:BSDC/stock.adobe.com)
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 仕事に追われていると、私たちはいつの間にか「仕事脳」になります。
 会社の文化や慣習が染みつき、とくに影響を受けやすいのが「時間感覚」です。毎日が会社や仕事のことで100%になって、新しいことをしたり楽しんだりする余裕がなくなってしまいます。

 そこで、忙しさのなかで染みついてしまった仕事中心の体内時計を自分中心へと切り替えるすべについてお伝えしていきます。

 キャリア相談者のNさんは、こんな話をしてくださいました。

 「無茶なスケジュールが続いたので、上司に『なんで締め切りがこんなに厳しいんですか』と聞いたら、『顧客の要望だ』と。そこで顧客に直接尋ねたら、『上に聞いてみますね』と返事が返ってきて、その間に締め切りが過ぎてしまったんです。
 結局、顧客の上司とやり取りして、双方が納得できる締め切りに調整できました。
 締め切りって、何なんですか?」

 もちろん、「だから会社の締め切りは無視しよう」というわけではありません。
 重要なのは、Nさんの「この締め切りって、絶対?」と問う、「疑いの視点」です。

 ここで言う「疑う」とは、誰かを責めることではありません。
 「改善できる余地がある」と見立て直すこと。
 「自分が改善できるんだ」という主導権を思い出すことです。

 「自分が環境に影響を与えられる」と思えていれば、強い文化や慣習に飲み込まれずに済みます。とくに環境の影響力が強い職場ほど、その差が出ます。

 この視点を持てると、「仕事時間」に支配されるのではなく、「仕事時間」と「自分時間」を分けて設計できるようになります。

ちょっとの工夫とごほうびで、「自分時間」の割合を増やす

(写真:kuri2000/stock.adobe.com)
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 さらにもうひとつ、会社時間に振り回されないために身につけたいことがあります。

 それは、自分の中で「先に締め切りを設定する」こと。

 会社の締め切りが金曜日なら、自分の締め切りを火曜日に置く。
 締め切りは本来、集中力を高めるためのものなので、たった数日の前倒しでも、集中力が早めに出てきます。
 同時に、「質を高める時間」も生まれます。
 1回で完璧に仕上げようとせず、自分の締め切りまでにいったん急ぎで「仮完成」させる。そこから本当の締め切りまで、ちょこちょこ確認して、少しずつ直していく。
 こうすると、1回あたりの負荷は軽いまま、質を高められます。何より、「どんどんよくなっていく」という感覚が得られると、仕事も楽しくなっていきます。

 また、仕事を楽しくする工夫として、「締め切りクッション」を用意するのもおすすめです。締め切りクッションとは、締め切り直後に自分時間を意識的に入れること。
 映画に行く、ちょっと贅沢なランチをする、大好きなお菓子を買う。小さなごほうびを差し込むだけで、やらされ仕事の反動をやわらげ、次の仕事への意欲を自然に回復できます。

 私たちは、環境に合わせて働いていますが、環境の奴隷になる必要はありません。

 小さな問いを持つ。
 締め切りを先に設定する。
 ごほうびを差し込む。

 こうした「小さな再設計」が、仕事時間に飲み込まれた体内時間をコツコツと調整してくれます。

(写真:菊池恵子/stock.adobe.com)
(写真:菊池恵子/stock.adobe.com)
本書が提案する「70%で働く」とは、手抜きではありません。いざというときのために、100%にギアを上げる余力は残して、でも普段は、無理なく、自分のリズムで働けるような、持続可能な働き方を再設計することです。「頑張ること」が当たり前になっている人こそ、「70%で働く」をキーワードに、「働かされる」が「働いている」に変わるような、楽しい働き方を見つけにいきましょう。

佐野創太著/日経BP/1870円(税込み)