本特集では、書籍『AIエージェント 設計&実装 完全ガイド』(日経BP)から抜粋した内容を基に、AIエージェントを実装および活用するための基礎知識を解説します。第1回では、AIエージェントとは何なのか、その定義を説明します。

 近年、生成AIの進化に伴い、AIエージェントという言葉が急速に注目を集めています。ですが、その定義や構造、設計パターンについては、まだ十分に整理されていません。

 そこで本特集では、AIエージェントの基本概念を明確にし、導入を検討する企業や組織が理解すべきポイントを解説します。また、AIエージェントの実装に必要な最低限の技術的知識についても触れます。

AIエージェントとは何か

 本特集では、AIエージェントを「ユーザーや環境からのインプットをもとに知覚・判断・行動し、ユーザーが設定した目的達成に向けて適切な応答や行動を自律的に行うAIシステム」と定義します。

 従来の生成AIは、入力に対して出力を返す「一問一答型」でした。一方、AIエージェントは状況を理解し、必要な情報を収集し、外部ツールを活用しながら複数のステップを踏んでタスクを完了できる点が特徴です。

 ビジネスの文脈では、AIエージェントは「人間のアシスタントをデジタル化した存在」と捉えると分かりやすいでしょう。

 例えば、営業担当者が「来週の顧客訪問に対応するために、過去の取引履歴をまとめ、競合情報を調べ、提案資料を作成してほしい」と指示した場合、従来のAIでは個別の質問に答えることしかできませんでした。

 しかしAIエージェントであれば、文脈を把握したうえで、外部リソースを適切に活用しながら関連情報を収集し、段階的に処理を進めてタスクを遂行できます。

単一エージェントとマルチエージェント

 AIエージェントの形態には、単一のAIエージェントが複雑な小規模タスクを自律的に処理する「単一エージェント」と、複数のAIエージェントが複雑な大規模タスクを自律的かつ協調して動作することで処理する「マルチエージェント」があります。

「単一エージェント」と「マルチエージェント」のイメージ
「単一エージェント」と「マルチエージェント」のイメージ
(出所:書籍『AIエージェント 設計&実装 完全ガイド』)
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 単一エージェントでは、ユーザーの入力を1つのAIエージェントが処理します。タスクを理解して実行して結果を評価した後、ユーザーに出力として返します。

 一方、マルチエージェントでは、ユーザーの入力をまずは管理エージェントが処理します。入力に応じて適切なAIエージェントにタスクを振り分け、複数のAIエージェントが協調して動作します。その結果を管理エージェントがとりまとめて、ユーザーに出力します。

(写真:ProfessorWorld/stock.adobe.com)
(写真:ProfessorWorld/stock.adobe.com)

日経クロステック 2026年4月13日付の記事を転載]

「AIエージェント」の基礎・設計・実装を解説する技術書です。大規模言語モデルのAPIと、Difyを中心とした開発ツールを駆使して、AIエージェント開発の「いろは」を説明します。さらに「面接アシスト」「調査」「社内規定検索」「問い合わせ対応」の4種類のアプリを題材に、開発方法をわかりやすく解説します。

アビームコンサルティング(著)/日経BP/3190円(税込み)