【 甘利美緒 / ライター 】
花のつぼみが大きく膨らんできたかと思えば、真冬に逆戻りしたかのような寒さに身を縮める、春のはじまり。気温の変化が激しい季節には、体を温める食材を使った料理をいただいてみては? たとえば「きのこ」。秋のものと思われがちだが、実際には一年を通して旬があり、エネルギーや熱を作り出すために不可欠なビタミンB群を豊富に含む。それからハーブも良い。カモミールやローズマリー、オレガノなどには、血行を促進する作用があると言われている。ハーブはとかく料理の脇役になりがちだが、ハーブを思う存分食べられるとっておきのリストランテが銀座にある。
マッシュルーム/恵比寿
きのこの概念を覆すフレンチに心を奪われる

恵比寿と代官山の間に位置する『マッシュルーム』は、おそらく日本で初めてきのこに特化したフレンチレストランだろう。フランスきっての老舗『トゥールダルジャン』など多くの名店で修業を積んだ山岡昌治シェフが、自然の偉大さ、とりわけ未知のきのこの世界に魅せられて山野を歩き回り、この店を開いた。その知識と経験は業界屈指で、シェフのもとには高品質な栽培種や希少な野生種など多種多様なきのこが日本各地から、さらには海外からも集まってくる。
料理のメニューはプリフィクスのコース、きのこ尽くしのコース、シェフのおまかせコースと選択肢が多いが、大切な方ときのこの世界を満喫するならばきのこ尽くしコース(¥10,000)がおすすめだ。たとえば、きのこのムース、天然鮮魚とハナビラタケのカルパッチョ、キノコのソテー、マグレ鴨のポワレ モリーユソースといった具合に、すべての料理にフレンチのエスプリを効かせながらきのこが使われる。とくにインパクトが強いのがデザート「セップのアイスクリーム」。一見するとキャラメルかコーヒーのような色をしているが、実は乾燥させたセップをパウダー状にしたものと香り高いバニラビーンズが練り込まれている。はじめてこれを食べたとき、体をのけぞるほど感動した。お腹に余裕があれば、6種類前後用意される日替わりデザートを追加するのもいい。なかでもエノキタケを使ったプリンは目から鱗の食感と味わいで評判だ。なお、筆者がこの店を最初に訪ねたのは25年ほど前のこと。あれから色々な店で色々な料理を体験したが、当時の興奮と感動は今もなお色褪せない。

お店で使用されるきのこの一例。トキイロヒラタケ、セップ、ジロールなど。「きのこ博士」として知られる山岡シェフが、それぞれの特性を生かしながら料理に仕立てる。

1993年のオープン以来、根強いファンに支持されてきた『マッシュルーム』。白いテーブルクロスが映える空間は、きのこにまつわるアイテムに彩られ遊び心も満点。
マッシュルーム
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-16-3 ゼネラルビル恵比寿西101
電話:03-5489-1346
営業:12:00〜15:00(L.O.13:30)、18:00〜22:30(L.O.19:30)
定休日:月曜、ほかに不定休あり
Website:https://www.mush.jp/
*サービス料10%




















































