日本から失われる「熟考」 沖縄復帰を巡る演劇が問いかけるもの
毎日新聞
2022/7/3 10:00(最終更新 7/3 11:52)
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東京に駐在する外国メディア特派員らの目に、私たちの社会はどう映っているのだろうか。韓国、フランス、英国、バングラデシュ、シンガポールの個性豊かな記者たちがつづるコラム「私が思う日本」。第55回はルモンド紙(フランス)のフィリップ・メスメール東京特派員が、今年5月に日本復帰から50年を迎えた沖縄の劇場で感じた、演劇の魅力を論じる。
「問いかけの場」としての劇場
私は演劇が好きだ。文学的要素と身体表現を組み合わせた、観客と直接ふれ合う面白い形の芸術だ。パフォーマンスの中で作り上げられるその結びつきが、社会的、さらには政治的な意味さえも含む強いメッセージを伝えることを可能にする。演劇の世界のクリエーターたちは、時事問題を取り上げて彼ら自身の見方を表現することをためらわない。
5月15日は沖縄の日本復帰から50年の記念日だった。沖縄ではその出来事は複雑な感情を呼び起こした。1972年、復帰の期待は大きかった。復帰後最初の知事である屋良朝苗(やら・ちょうびょう、1902~97年)は、沖縄を「希望の聖地」にすることを夢見たほどだ。
しかし今日、その小さな群島にはいまだに米軍基地が集中している。米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡っては、沖縄の大多数の人の反対を日本政府は考慮せず、はっきりしない態度をとってきた。そのことが東京への不信感や敵意をあおり立てた。
この入り交じった感情が那覇文化芸術劇場「なはーと」で表現された。2021年10月に那覇市中心部(ハート)でオープンした公立劇場だ。5月に主催した3作品の公演では「本当の平和とは」、そして「沖縄とは」、そんな問いを投げかけた。
沖縄復帰は多義的な主題として現れる。…
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