露とくとく心みに浮世すすがばや
宿泊した吉野山(奈良県吉野町)の民宿で、前夜から降り続く雨がやむのを待っていた。天気予報では午前9時にはやむはずだったが、午前10時半を回っても降っている。スマートフォンの天気アプリを確認すると雨雲はなくなっていたので出発することにした。
今回の目的地は芭蕉が「野ざらし紀行」の旅で訪れた「西行(さいぎょう)庵(あん)」跡。吉野で幾つもの歌を残した西行の庵(いおり)跡について芭蕉も「柴人(しばびと)の通ふ道のみわづかにありて、嶮(さが)しき谷を隔てたる」と記したように、庵跡は標高約730メートルに位置し、奥千本と呼ばれる吉野山の最奥地にある。
宿の主人が天気について話す声が聞こえた。「そろそろやむはず」。外に出ると小雨の中、金峯山寺(きんぷせんじ)の鐘が鳴っていた。標高300~400メートルの中千本から傘を差して坂道を上がる。約1キロ先の上千本付近で雨がやんだ。
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