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「社会は単純でないから」 上智大学長が示すAI時代の学生評価軸

インタビューに答える上智大の曄道佳明学長=東京都千代田区で2023年5月10日、内藤絵美撮影
インタビューに答える上智大の曄道佳明学長=東京都千代田区で2023年5月10日、内藤絵美撮影

 まるで人間のように自然な文章で対話できる「チャットGPT」などの生成AI(人工知能)が急速に社会に浸透している。上智大は3月、今年度の授業から学生がリポートや論文などの課題提出のために使うことを禁止した。国内の大学でいち早く方針を打ち出した狙いは何なのか。毎日新聞のインタビューに応じた曄道佳明(てるみち・よしあき)学長が語った、AI時代に重視する学生の評価軸とは。【聞き手・鈴木理之】

「AIが学生と同じ立場に」

 ――生成AIの活用方針を改めて教えてください。

 ◆3月に示した見解は、課題として出されたリポートや試験の答案などの創作物を学生が提出する際に、「生成AIで作られたものをそのまま出してはいけません」という内容です。学生の成績を評価するうえで、AIを使った創作物は「あなたの力としては認めませんよ」ということを伝えたわけです。一部で誤解が生じたようですが、AIの活用をあらゆる場面で認めないという考えではありません。これからの社会で、AIが活用されない現場というのは恐らくないと思います。将来的にAIの開発を志す学生もいるはずです。AIが教育の現場に入ってきたので、大学がその活用を禁止したということではありません。大学の方針の下で、最終的にどのような活用をするかは各教員の判断に委ねています。

 ――授業の単位取得に直結する創作物には利用を認めないということですか。

 ◆そうです。AIが作った生成物をそのまま提出することは認めません。AIに限らず、学生はこれまでも本やネットから情報を入手して自分の考えを固める材料としてきました。ただ、どんな課題であっても、最終的には自分自身で考えをまとめ、それを自分の考えとしてリポートや答案を提出してきたわけです。ところが、チャットGPTをはじめとする生成AIは、情報を勝手に集めて答えを作ってくれます。ある意味で、AIが学生と同じ立場に立てる時代になりました。AIが作ったものを「私が考えたことです」と言ってはいけません。

AIが解決できるほど社会単純でない

 ――学業においてもAIの活用を規制すべきでないという意見もあります。

 ◆教育に対するスタンスの違いだと思います。全く制限を加えるべきではないという考え方を特に否定はしません。というよりも、「AIの活用は是か非か」といった白黒をつけようとする議論から早々に抜け出すべきです。

 上智大の教育方針として重視するのは、…

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