国内で販売されている生ハムは、イタリアやスペイン産をよく見かけるが、国産のイメージはあまりない。ところが、神奈川県藤沢市に生ハムを手作りする工房があるという。塩気とうまみが口っぱいに広がる絶品生ハムを堪能するため、工房を訪れた。【原奈摘】
湘南藤沢地方卸売市場の中に、黄色が鮮やかな一角が出現する。「ふじさわ生豚(なまはむ)」を生産している「Shoko-Tei」である。一角はゴッホの絵画「夜のカフェテラス」をイメージし、2階が工房、1階が直営店とイートインスペースになっている。2階に上がらせてもらうと、生ハムの原木がつるされている。オーナーの高橋睦さん(55)は「表面からはチーズの香りがしますよ」と話す。塩気のある発酵食品のような、熟成の進んだ香りが鼻をくすぐる。
かつて高橋さんは旅行会社に勤め、ツアーのプロデュースや添乗員をしていた。海外旅行に付き添うと、観光地や文化施設などに興味を示さない客も多かったという。しかし食事の時間は、だれもが現地の料理に関心を示し、楽しそうに解説を聞きながら食べていた。食の魅力を実感したという。「食を文化として捉えて何かやってみよう」。2003年に同市内で飲食店を始め、12年に藤沢の名産品にしようと魚醬(ぎょしょう)作りから…
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