湯本館 静岡県伊豆市湯ケ島1656の1
伊豆半島の天城山から北流する狩野川周辺の宿には、古くから小説家や詩人が好んで足を運んできた。川端康成が定宿にした湯本館もその一つで、代表作「伊豆の踊子」の映画化のロケ地にもよく選ばれたという。
伊豆の踊子は昭和時代に6度映画化されている。ヒロインの踊り子(薫)を演じたのは、田中絹代さん(1933年版)▽美空ひばりさん(54年版)▽鰐淵晴子さん(60年版)▽吉永小百合さん(63年版)▽内藤洋子さん(67年版)▽山口百恵さん(74年版)――と往年の名優が並ぶ。旅館内にはそれぞれの映画が封切られた当時の懐かしいポスターを掲示し、伊豆の踊子ファンの宿泊客をノスタルジーの世界に誘っている。
「小百合さんは湯本館に来て映画を撮影しました。ロケの写真などもあります」。湯本館社長の土屋晃さん(65)が映画撮影のエピソードを語る。「一方、百恵さんはほとんど寝ていないぐらい多忙で、湯本館に来ませんでした」。数年前には歌手の石川さゆりさんが「天城越え」のロケで湯本館に立ち寄ったことがあったという。「その時に百恵さん版のポスターを指さして『あまりいい役ではなかったのですけど、私も出演していました…
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