東京都の公立中学校で初の民間出身の校長を務めた藤原和博さん(69)は、塾と連携した「夜スペシャル」(夜スペ)や世の中のことを議論する「よのなか科」の授業で注目を集めた。もう一つの取り組みとして、PTA改革に乗り出し、廃止に導いたことはあまり知られていない。学校の運営には「地域社会を加えた方がいい」と主張し、新たな保護者の会につなげた元民間人校長の意図は何だったのだろうか。【聞き手・塩路佳子】
企画「何のため?PTA」ではPTAの現状を取材し、時代に合った保護者会組織のあり方を考えます。
<前回>「どんな形でも…」 岡山県PTA連解散、全国初の決断に至った背景
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「保護者の会」に改組
――2003年から5年間、校長を務めた東京都杉並区立和田中学校では08年にPTAが廃止されました。
◆PTAを教員の入らない「保護者の会」に改組し、03年に地域住民でつくった組織「地域本部」に組み入れる計画を学校運営協議会に報告し、了承を得ました。子どもの家庭環境が多様化、複雑化する中、学校の運営は職員室の教員だけではできず、地域社会を加えるのが望ましい形です。地域全体で子どもを育てていく中で、PTAのあり方を問い直しました。
――なぜ教員を入れなかったのですか。
◆元々、PTAの活動に教員がほとんど関わっていなかったことが理由にあります。加えて、保護者を含めた地域住民による地域本部をつくることで、学校と保護者の向き合い方を変える狙いもありました。
教員に対して文句ばかり言うクレーマーのような保護者がいる一方、学校側も運動会の駐輪場整備などを保護者がやって当たり前と誤解しているところがあります。このような不健全な関係では建設的な議論はできません。だからこそ、学校と保護者の関係の中に、地域社会を入れることが必要だと考えたのです。
――地域本部では具体的に何をするのですか。
◆教員になりたい大学生や退職したビジネスパーソン、塾の先生らが中心となり、学習が遅れている生徒のサポートや受験対策など教員がカバーしきれない学習活動を保護者と一緒に支えました。土曜日に教室を開放して生徒の学習をサポートする「土曜寺子屋」(ドテラ)や、塾と連携した有料授業「夜スペシャル」(夜スペ)の運営などをしていました。
地域には語学が堪能な元商社マンやマネジメント力にたけた元金融マン、技術を持った職人ら優秀な人材がいて、子どもの学びを豊かにしてくれます。
――地域の参画に保護者はどう反応しましたか。
◆反発はあり…
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