速度違反で米国「滞在資格」取り消し? 日本人留学生が直面した危機
もしかして――。
米大学院に留学中の日本人留学生、恩田賢(すぐる)さん(41)は4月、大学職員からのメールで米国の滞在資格が取り消されたことを突然知らされた。
トランプ政権下の米国で、外国人留学生の滞在資格が取り消される事案が相次いでいたが、事前警告もなく、寝耳に水だった。思い当たる節はなかったが、記憶をたどるなかでようやく思い付いたのが、3年以上前の交通違反と魚釣りを巡るルール違反だった。
<主な内容>
・理由は車?魚?
・実名、顔出しで全米に
・思わぬ「援軍」
・米国土安全保障省から届いたメール
・DV通報で滞在資格取り消しも
不穏なメール
「昨日、国土安全保障省があなたのSEVIS記録を取り消したことが分かりました」
恩田さんが通う西部ユタ州のブリガム・ヤング大の職員から、そんな不穏なメールが届いたのは4月8日のことだった。
SEVISとは、米国土安全保障省が運営する留学生や研修者の滞在記録管理システムのことだ。米国留学に必要な学生ビザを取得するために、留学生が費用を支払って登録してもらう。
大学院の博士課程で人工知能(AI)や画像認識について研究している恩田さんも、登録して2019年に渡米した。
このSEVISの記録の取り消しは、外国人留学生にとって米国の滞在資格を失うことを意味した。
恩田さんは26年度中の卒業を目指している。不安が募り、メールを受け取ったその日のうちに大学の事務所に向かった。
大学職員と一緒にSEVISのシステムを調べたところ、取り消し理由について「過去の犯罪歴」との記載があった。
恩田さんは逮捕されたこともなければ、デモなどの政治的な活動に参加したこともなかった。
深まる謎
懸命に記憶をたどってみたが、3年以上前の車のスピード違反と、地域の子どもたちと魚釣りに訪れた際にキャッチ・アンド・リリースの法令に反して魚を釣ってしまったことしか思いつかなかった。
しかし、交通安全講習を受けたことなどで運転の違反歴は残らず、魚釣りに関しても事件は棄却された。いずれも犯罪歴には該当しないはずだった。
調べる中で、記録の取り消しから15日の猶予期間内に米国を退去する必要があることも分かった。
恩田さんは急いで弁護士に相談した。
「これはおかしい」
移民に関わる多くの刑事裁…
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