千田八段が見せたヘタウマの勝負術 A級順位戦観戦記

今期A級順位戦初勝利を挙げ、笑顔を見せる千田翔太八段=東京都渋谷区の将棋会館で2025年7月30日、岩下幸一郎撮影
今期A級順位戦初勝利を挙げ、笑顔を見せる千田翔太八段=東京都渋谷区の将棋会館で2025年7月30日、岩下幸一郎撮影

 1回戦を落とした者同士の顔合わせとなったA級順位戦▲千田翔太八段-△中村太地八段戦。千田八段は昼食25分前の休憩宣言や、格言が戒める「王手は追う手」の攻めなど常識外れの勝負術を繰り出し、中村八段に快勝した。上地隆蔵さんは観戦記で、持ち駒を惜しみなく投入した千田八段の終盤術を「ヘタウマの3連打」と驚嘆を込めて表現した。

第1譜(1―46)

▲2六歩  △8四歩  ▲2五歩  △8五歩

▲7六歩  △3二金  ▲7七角  △3四歩

▲6八銀  △7七角成 ▲同銀   △2二銀

▲7八金  △3三銀  ▲4八銀  △6二銀

▲4六歩  △6四歩3 ▲1六歩  △1四歩

▲9六歩  △9四歩1 ▲4七銀  △6三銀2

▲3六歩  △7四歩  ▲3七桂  △4二玉1

▲6八玉  △7三桂2 ▲4八金  △8一飛

▲5六銀  △6二金  ▲6六歩1 △5四銀

▲2九飛  △5二玉1 ▲6九玉1 △4四銀2

▲7九玉  △3三桂  ▲2四歩11 △同 歩

▲同 飛  △3五歩1(第1図)

(持ち時間各6時間 消費▲13分△13分)

クレバーな戦い方

 午前中からもう40手以上進んでいる。研究でカバーできるところはさっさと指す。来たるべき局面に備えて、できるだけ持ち時間を温存しておくのが現代流のクレバーな戦い方だ。先後が決まっている順位戦、とりわけ角換わりではその傾向が強い。

 2回戦最初の本局は7月30日、東京・将棋会館「特別対局室」で行われた。両者、黒星スタート。記者室で何気なく携帯を開くと、太平洋側に津波警報発令中と表示されていて驚がくした。震源はカムチャツカ半島付近。漠然とした不安でしばらくはそわそわした。東日本大震災が脳裏をよぎる。両対局者は知る由もなく、対局室で集中していた。

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