学生剣道の団体日本一を決める大会が今秋も愛知、大阪の両府県で開催される(いずれも毎日新聞社、全日本学生剣道連盟主催)。「第44回全日本女子学生剣道優勝大会」は8、9両日に愛知・春日井市総合体育館を舞台に行われる。9月の関東大会で男子と同時優勝だった筑波大を筆頭に、昨年悲願の日本一を果たした福岡大や、九州大会で福岡大に勝利した鹿屋体育大などが頂点を目指す。16日にAsueアリーナ大阪(大阪市)で開かれる「第73回全日本学生剣道優勝大会」は、関東大会で6連覇を果たした筑波大、前回大会で12年ぶりの日本一を達成したメンバーが残る国士舘大などが優勝争いの軸になりそうだ。【川村咲平、曽根田和久】
◆第44回全日本女子学生剣道優勝大会
連覇狙う福岡大
昨年の全日本女子学生優勝大会で、旋風を巻き起こした福岡大。九州大会3位から、一気に日本一へと駆け上った。快進撃から1年。下級生で優勝を経験したメンバーが5人残り、喜びも重圧も感じながらひと回り大きくなって、大舞台に戻ってきた。狙うは「連覇」だ。
「もしかしたら、優勝できるんじゃない」
大会中に仲間たちとそんな会話が生まれるほど、昨年の全日本は試合を重ねるたびに手応えが深まった。40年近く遠ざかっていた「4強」という大会前の目標を超え、迎えた筑波大との決勝は5人で決着がつかず、代表戦の末に初の栄冠をつかんだ。
その代表戦で勝利し、今年は主将を務める河野百響(ももね)選手(4年)は「どんどん強い相手と試合をする中で楽しさが生まれた」。女子の監督を務める江島良介師範(69)は「挑戦者として思い切って臨んだ結果、勝利の神様がほほ笑んでくれた」と振り返る。
大学初の快挙に対する反響は、想像以上に大きかった。卒業生だけでなく、地域からも数え切れない表彰と祝福を受けた。
「まだまだ弱い」
当然、うれしさがある一方で、戸惑いも生まれた。
河野主将は「次の試合に向けた期待の言葉はうれしいけど、『勝って当たり前』と感じる時はちょっと苦しかった」と打ち明ける。思うような結果が出ない大会が続いた。
「優勝の実績が重圧に変わっている」と感じた江島師範は選手に向けて「まだまだ弱い」と何度も諭してきた。
一見すると厳しい言葉の裏には「もっともっと強くなれる。どう考えて工夫すればよいか。ベクトルを自分に向け、課題を持ってほしい」との思いがあった。
選手たちは、自分たちを見つめ直した。卒業生の外部指導者が音頭を取って、全体ミーティングで選手にアンケートを行って本音を引き出したことで「自分の不安な気持ちを遠慮せず、試合前に仲間に打ち明けて気が楽になれた」(河野主将)。部の雰囲気が変わっていった。
大学の長期休みに合わせて2部練習や強化合宿を行い、基本に重点を置いた練習に打ち込んできた。
「今年の選手は苦しんだ分、成長してくれた」と江島師範は語る。
競技の側面だけではない。剣道を通じて目指してきた「ささいな気遣いや心がけを行動に移せる社会人」にもつながっていると感じる。
優勝旗の「返還」
全日本に向けて設定した最初の目標は「優勝旗を自分たちの手で『返還』する」。九州に与えられた6枠に入り、まずはもう一度、全日本の舞台に戻ることを目指した。
九州大会は、決勝で鹿屋体育大に敗れた。「一本の重み、決定力の差を感じた」(河野主将)が、準優勝でまずは第1段階を突破した。江島師範は「宅配便で優勝旗を返したらかっこ悪い。良かった」と冗談交じりに喜びを語る。
全日本に向けて「まずは目の前の相手に集中する。一つでも多く、このチームで勝ちたい」と河野主将が語れば、副主将の大嶋妃奈選手(4年)は「集大成として感謝の気持ちを伝える剣道がしたい」と力を込める。
江島師範が「大事なところで勝ってくれる」と信頼を置く2人の目標が達成できれば、連覇が見えてくる。【川村咲平】
筑波大勢い、総合力の明大
実力校がしのぎを削る関東勢に対し、ほかの地方大学がどこまで対抗できるか。
関東勢で特に勢いがあるのは、9月の関東大会で男子と同時優勝した筑波大だ。
明治大との決勝は先鋒(せんぽう)の五十嵐和奏(わかな)選手(2年)の一本勝ちで流れを引き寄せ、そのまま優勝を手にした。5月の関東女子学生選手権で優勝した岩原千佳選手(3年)ら、実力者がそろう。
準優勝に終わった明大は関東女子学生選手権で準優勝した主将の上山伽音(かのん)選手(4年)を筆頭に、高い総合力を備える。
中央大も7月の全日本女子学生選手権で優勝した村田結依選手(2年)、1年生ながら主力として活躍する福岡さくら選手ら下級生も力強く、優勝候補の一角に挙がる。
九州勢も負けていない。前回大会の覇者である福岡大は、主将の河野百響選手(4年)ら優勝メンバーが5人残り、実績十分だ。
福岡大を九州大会で破ったのが、鹿屋体育大だった。今春から母校の監督に就任した大城戸知(おおきどさとる)監督は「普段から男女完全優勝に向けて稽古(けいこ)をしている」と力強く語る。
◆第73回全日本学生剣道優勝大会
関東勢軸に実力伯仲、混戦
関東勢を中心に、実力伯仲の混戦が予想される。有力な優勝候補の一つが、関東大会で6連覇を達成した筑波大だ。
史上初の「6連覇」の重圧がかかる関東大会は、準決勝で前年日本一の国士舘大に勝利を収めた勢いそのままに、決勝で法政大を破った。7月の全日本学生選手権で準優勝だった高島壮右馬選手(3年)、副将を務めた田城智也選手(4年)ら、勝負強い選手がそろう。
関東大会は惜しくも準優勝に終わったが、法政大も高い総合力で頂点を狙う。全日本学生選手権で3位に入った中尾王真選手(3年)、高橋京太郎選手(4年)ら実力者が名を連ねる。
前年、悲願の日本一を達成した国士舘大は今年も頂点を狙える力がある。関東大会は筑波大に敗れたものの、主将の中田竜之介選手(4年)を筆頭に昨年の日本一を経験したメンバーが複数残る。
その国士舘大に、前回大会決勝で敗れたのは、鹿屋体育大だった。今年は九州大会で男女同時優勝を果たし、全日本へと乗り込む。安田祐也主将(4年)は「全員で日本一を目指す。昨年の決勝で負けた国士舘に、今年は絶対勝ちたい」と闘志を燃やす。
◆全日本女子学生剣道優勝大会
2024年の結果
優勝 福岡大
準優勝 筑波大
第3位 順天堂大
〃 早稲田大
敢闘賞 明治大
〃 法政大
〃 中央大
〃 日本体育大
◆全日本学生剣道優勝大会
2024年の結果
優勝 国士舘大
準優勝 鹿屋体育大
第3位 日本体育大
〃 中央大
敢闘賞 慶応大
〃 専修大
〃 駒沢大
〃 法政大
日程
女子 11月8日(土)午後1時45分から
※1回戦
9日(日)午前9時半から
※2回戦~決勝
男子 11月16日(日)午前9時半から
会場
女子 愛知・春日井市総合体育館
男子 大阪・Asueアリーナ大阪
入場料 ※税込み
女子 特別1400円、一般1200円、高校生700 円 ※2日間通し券
男子 一般1200円、大学生900円、中高生700 円
主催
全日本学生剣道連盟、毎日新聞社
後援
スポーツ庁、全日本剣道連盟、日本武道館ほか
協賛
JPロジスティクス、NAX JAPAN
主管
女子 東海学生剣道連盟
男子 関西学生剣道連盟
無料ライブ・アーカイブ配信
学生剣道の団体日本一を決める両大会は、毎日新聞デジタルの学生剣道ポータルサイト「学生剣道ライブ」(https://mainichi.jp/kendolive/)で全試合無料でライブ配信されます。各校の剣士たちが誇りを胸に競い合う学生剣道界最高峰の真剣勝負をスマートフォンやタブレット端末、パソコンでお楽しみください。
特設サイトでは、出場各校の選手名鑑やトーナメント表、第1回から前回までの歴代優勝・準優勝校一覧などさまざまなコンテンツを展開。大会当日にはライブ配信とともに試合結果も随時速報します。
終了後はアーカイブ映像を無料配信。若き剣士たちの闘志あふれる試合を丸ごと振り返ることができます。
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