A級順位戦▲佐々木勇気八段(対局時1勝2敗)―△永瀬拓矢九段(同3勝)は、永瀬九段が序盤に見せた工夫の意図を測りかねた佐々木八段が午前から長考に沈み、なんとか大優勢を築いた。しかし、大きな時間差が終盤であだとなり、永瀬九段の逆転を許す結果となった。佐々木八段の誤算はどこにあったのか。椎名龍一さんの観戦記で読み解いていく。
第1譜(1―16)
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7六歩 △3二金 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲3八銀 △3三銀 ▲3六歩1 △4二玉(第1図)
(持ち時間各6時間 消費▲1分△0分)
タイトル戦常連同士
ここ数年のタイトル戦は、藤井聡太名人、伊藤匠叡王、永瀬拓矢九段、佐々木勇気八段の4人で争われている印象がある。本局はタイトル戦の常連とも言える2人の直接対決で、A級リーグの一つの山場でもある。
本局が行われたのは10月26日の日曜日。竜王戦七番勝負と王将戦リーグを並行して戦っている佐々木の対局日程が厳しいこともあって、対局日が決まるまでに時間を要した。
この日は関東研修会があり、将棋会館には少年少女の姿が多く見られてにぎやかだった。この中に将来の名人がいるのかもしれないと思いながら、特別対局室に向かう。永瀬―佐々木の部屋割りを示す対戦表示を、研修会員の一人がまぶしそうに見ているのが印象に残った。
戦型は角換わり。15手目に佐々木が▲3六歩と突いて早繰り銀をにおわせたところで、…
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