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日銀悲願の利上げ再開 高市首相から得た「了解」 突破した二つの壁

記者会見に臨む日銀の植田和男総裁=東京都中央区で2025年12月19日午後3時38分、藤井達也撮影
記者会見に臨む日銀の植田和男総裁=東京都中央区で2025年12月19日午後3時38分、藤井達也撮影

 日銀が11カ月ぶりに追加利上げに踏み切った。予測不能なトランプ米政権の大規模関税と、利上げに慎重な高市早苗政権の発足という二つの「壁」を乗り越え、超低金利政策からの脱却へ再び足を踏み出した形だ。今後、日銀は何回利上げするのか。【大久保渉、古屋敷尚子】

「第一の壁」で様子見強いられ

 「賃金と物価が、ともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高い」。日銀の植田和男総裁は19日の記者会見で、力強い賃上げが続く見通しが固まるなど、追加利上げの環境は十分に整ったとの認識を強調した。

 日銀は1月に利上げした後、6会合連続で政策金利を据え置く「様子見」を強いられた。理由はトランプ米政権が4月に発動した大規模関税。雇用などの裾野の広い自動車産業を直撃し、日本経済が大打撃を受ける恐れが強まった。

 当時の政策金利は0・5%程度で「『金融正常化』には、まだまだ利上げが必要」というのが日銀幹部の共通認識。だが、トランプ関税という「第一の壁」の出現で、景気を腰折れさせる恐れのある追加利上げの機運は吹き飛んだ。

 関税発動から半年以上たち、打撃は当初の想定ほど大きくないことが判明。日本経済の先行きに立ちこめていた霧が徐々に晴れ、2024、25年と2年連続で5%以上となった力強い賃上げの流れは、「26年も途切れない」(日銀幹部)との手応えを得られるようになった。

10月利上げ論阻んだ「第二の壁」

 トランプ関税の壁を乗り越えつつあった日銀内では、10月会合での利上げ論も浮上していた。それを阻んだ「第二の壁」が、金融緩和を志向する「リフレ派」の高市政権の発足だ。

 高市氏は自民党総裁選で「(金融政策の)方向性を決める責任は政府にある」と発言するなど、日銀の利上げをけん制するかのような発言をしてきた人物。小泉進次郎氏有利との下馬評を覆し高市氏が総裁選に勝利したことで、早期の利上げ再開を目指す日銀内には動揺が走った。

 日銀の金融政策は政治的独立が認められている。とはいえ、首相の景気認識や経済政策の考え方を確認しないまま日銀が利上げに突っ走れば、政権との間に亀裂が生じかねない。「10月でも12月でも利上げの効果に大差はない」(日銀幹部)との判断もあり、利上げは見送られた。

 転機となったのは…

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