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全国初の太陽光パネル税どうなった? 条例制定4年、施行まだの背景

土居地区に広がる「作東メガソーラー」=岡山県美作市で2025年11月12日、本社ヘリから加古信志撮影
土居地区に広がる「作東メガソーラー」=岡山県美作市で2025年11月12日、本社ヘリから加古信志撮影

 岡山県北東部に位置する美作市は総面積約430平方キロの4分の3以上を森林が占め、市全体が緑の山々に囲まれる。兵庫県と隣接する土居地区を車で走ると、道路脇の丘陵地にずらりと並ぶ太陽光発電パネルが目を引く。道路から見えるのは日本最大級の太陽光発電施設のごく一部にすぎない。

 2021年12月、美作市は太陽光発電パネルに課税する条例を全国で初めて制定した。太陽光発電が脱炭素化の有効な手段とされる一方で環境破壊が問題となる中、市の取り組みは注目されたが、制定から4年たった今も施行されていない。なぜなのか――。

 「エベレスト初登頂のような非常に困難なチャレンジです」。太陽光パネル税の導入の可否を市総合戦略推進会議に諮問した萩原誠司市長は、19年3月の会議で前例のない税制をそう表現し、有識者たちに理解を求めた。

 市は同年6月議会にパネル税条例案を提案した。対象は、出力10キロワット以上の野立て型の事業用発電施設で、パネル1平方メートルあたり50円。東京のベンチャー「パシフィコ・エナジー」が19年12月に稼働した同市土居地区の411ヘクタール(東京ドーム87個分)に広がる、計75万枚・出力26万キロワットの「作東メガソーラー」など約80カ所に上る。年間約1・1億円の税収を見込む。

 美作市の担当者は「太陽光発電の立地開発で新たな災害や鳥獣被害、事業終了後の土地の荒廃が心配される。その対策費を負担してほしい」と課税理由を説明する。

 これに対し、業界団体の太陽光発電協会と太陽光事業者連盟は「固定資産税との二重課税で、事業継続が困難になる」などと反発、条例制定に強く抗議する意見書を提出した。市全体の8割を納税することになるパ社は「洪水対策のため、岡山県の基準の1・8倍の面積のため池を整備した」などと反論した。

 市議会でも意見が割れ、再三の継続審議、廃案、否決を経て、21年12月議会で3度目の提案がようやく可決された。

 市は23年度からの課税開始を目指し、地方税法で定められた総務相の同意を求めたが、同…

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