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歌舞伎役者の化粧はなぜ崩れないのか 熱演支える「完全受注制」の技

「シマムラ」がつくるびんつけ油=和歌山市で2025年12月2日午後0時11分、安西李姫撮影
「シマムラ」がつくるびんつけ油=和歌山市で2025年12月2日午後0時11分、安西李姫撮影

 力士の整髪料として大相撲で使われるびんつけ油。角界とは異なる用途で、歌舞伎界では重宝されている。白塗りの下地として顔に塗れば、激しい動きで汗をかいても化粧が崩れることはない。江戸末期から180年以上続く老舗の化粧品メーカーが製法を今に受け継ぎ、伝統芸能を支え続けている。

 和歌山市の「シマムラ」は江戸末期の天保13(1842)年創業。初代・島村冨次郎が油商として、びんつけ油の製造・販売を始めた。当時は女性が日本髪、男性がちょんまげの時代で日常の整髪料として親しまれ、「紀州びんつけ」の名で明治時代にかけて全国に販路を広げた。

 1919(大正8)年に事業を継承した4代目が香川県・小豆島にオリーブ園を開設し、肌に塗るオリーブ油やハンドクリームの製造を始めた。現在では同社の主力商品に育った。

 それでも、びんつけ油は長く愛され、昔ながらの作り方が受け継がれてきた。

 原材料はウルシ科の植物「ハゼ」の実から搾った油でつくる木蠟(もくろう)と菜種油。製法はこうだ。

 ①ブロック状に成形された木蠟と菜種油を鍋で熱し、混ぜて溶かす②液状になった原材料を鉄釜に注ぎ込み、木の棒を使ってすばやくかき混ぜて数十分間練り続ける③半固形状になったら取り出し、たたいて板状に整える④成形機に投入して厚さ1センチほどになるよう帯状に細長く延ばす⑤手のひらサイズにカットし、紙で個包装――してできあがりとなる。

大切な練り具合と温度管理

 社内でただ一人製造を担うのは入社10年目の山口大貴(たいき)さん(31)。和歌山県串本町出身で、京都府内の飼料会社に勤務していた。

 映画「国宝」で脚光を浴びた歌舞伎界。記事後半では、役者の熱演を支える伝統技術を山口さんが引き継いだ経緯、製造時の工夫、そして歌舞伎役者に選ばれる理由を紹介しています。

 「も…

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