御殿女中の敵討ちを主題にした名作の17年ぶりの上演で見応えある公演となった。国立劇場文芸研究会補綴(ほてつ)。
序幕が「営中試合」。町家生まれの中老、尾上(時蔵)は局、岩藤(彌十郎)に剣術の試合を申し入れられて困惑するが、尾上の召使で武家出身のお初(八代目菊五郎)が代わりを申し出る。
娘らしくきびきびとして陽性な八代目と品位があり内向的な時蔵が対比を生み、彌十郎は格を保ちながら嫌みさの中に愛嬌(あいきょう)をにじませた。お初と岩藤のせりふの応酬に役の気性が表現され、お初の勝利を喜びながら露(あら)わにできない胸の内を時蔵がにおわせた。橘太郎の桐島が好演。萬太郎の求女、玉太郎の大姫。
二幕目が「草履打」。策略にはまり、岩藤に草履で打ち据えられて耐える尾上の悔しさを時蔵が体から感じさせ、「この身に落ち度あればこそ」のせりふに怒りが表れた。彌十郎は岩藤の満足げな姿をたっぷりと見せた。権十郎の弾正。
この記事は有料記事です。
残り373文字(全文775文字)