「今日もできた」を大切に 高校駅伝の名将に聞く「強さ」導く指導法
千葉県の八千代松陰高校陸上競技部の元顧問、大塚正人さん(61)は、生徒の自主性を重んじる指導で全国有数の駅伝強豪校に育て上げた。ただ、かつては厳しい練習を課しているのに大会で結果が出ず、行き詰まっていたという。そこから指導方法を見直した経緯や、生徒の意欲を高めるコツを尋ねた。【高橋晃一】
――八千代松陰の男子チームは昨年末の全国高校駅伝競走大会で4年連続入賞しました。普段はどのように練習していますか。
◆約8~10キロを時間をかけて軽めに走ったり、約8キロを心拍数を上げて走ったりしています。うちは寮がなく通学範囲が広いので、放課後に長々と練習できません。
疲労度は6、7割程度にとどめ、余力を持って終わるようにしています。毎日練習できることが大切で「今日もできた」「明日も頑張ろう」という努力の継続につながります。
――生徒はサボりませんか。
◆6、7割で終わると、物足りなくて自分で走るんですよ。余力があると、自分に何が足りなくて何をすればいいかと考えるように。練習をやらされるのではなくて、好きだから自主的にできる。それがうちの強さです。
――なぜ自主性を尊重するように。
◆以前は自分が高校時代にやっていた練習を教科書にしていました。毎日約10キロ走り、最後の数百メートルを全力で競争させて追い込むような無理な練習が多かった。(八千代松陰高の選手として1982年に)全国高校駅伝競走大会で準優勝したから、同じようにやれば強くできるという思い込みがありました。
だけど、結果は出なかった。強い選手は出てくるけど、チームの平均点が上がらない。これでは駅伝で勝てず、悩んでいました。
――どのように指導を改めましたか。
◆40代の頃、全国大会の常連校である秋田工業高校と夏合宿をしました。指導方法を学びたい、陸上で何を教えたいのか明確にしたいと考えていました。
秋田工業の大友貴弘監督(当時)から言われたことはクラブ活動を通じた人間形成、走ることを嫌いにさせないこと、努力の継続。この三つを方針にしようと決めました。
同じ頃、新居利広先生(八千代松陰の初代顧問。後の東海大監督)に練習を見てもらうよう頼みました。新居先生が指導すると、私が教わっていた頃と全然違うんですよ。
淡々と集団で走って、最後に全力でスピードを上げたりせず、余力を持って終わる。新居先生は「昔の練習はひどかった。練習は科学だから選手を無理に追い込む必要はない」と話していました。新居先生の指導と大友監督から学んだ方針がかみ合って、今の練習が確立しました。
――以前の練習は生徒にとってどのようなものでしたか。
◆押しつけた練習になっていたかもしれない。陸上を続ける子があまりいなくて、生涯スポーツとして健康や楽しむために走ることにつながっていませんでした。今の指導方針になってからは市民マラソンなどで楽しく走る卒業生が増えました。
――人を育てる上で大切なことは。
◆今の時代、自主性を尊重する方針は増えています。放任ではなくて、好きなものに努力していこうという意識を芽生えさせ、導く必要があります。指導者にとって、それが最もエネルギーを注ぎ、知恵を絞ることです。
おおつか・まさひと
1964年生まれ。東海大卒。82年に八千代松陰高校の選手として全国高校駅伝競走大会で準優勝した。89年から八千代松陰陸上競技部顧問。長らく都大路から遠ざかっていたチームを復活させ、県大会7連覇(2018~24年)へと導いた。25年3月に定年退職し、非常勤職員として陸上競技部をサポートする。
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