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灘中入試に出題で話題 ガザ描いた詩人が日本に寄せたメッセージ

詩を作ったゼイナ・アッザームさん=Jeff Normanさん撮影(ゼイナさん提供)
詩を作ったゼイナ・アッザームさん=Jeff Normanさん撮影(ゼイナさん提供)

 中学受験の最難関校の一つとして知られる、中高一貫の私立灘中(神戸市)は1月17、18日、入学試験を実施した。

 国語では「パレスチナで起きていることをきっかけに書かれた詩」として、英語から日本語に訳された2編の詩に関する問題が出題された。

 その一つ、「おなまえ かいて」を書いたパレスチナ系米国人詩人のゼイナ・アッザームさんが毎日新聞の取材に応じ、メッセージを寄せた。

 「私たちには責任がある」。その思いとは――。【矢追健介】

イスラエルによる占領政策

 パレスチナ人は1948年のイスラエル建国前後から、土地や命を奪われてきた。

 パレスチナ自治区ガザ地区やヨルダン川西岸地区は67年にイスラエルに占領され、パレスチナ人の抵抗運動が続いている。

 地中海に面するガザ地区は長さ約50キロ、幅約10キロの南北に長細いエリア。イスラエルはそこを塀で囲い、水源の開発や電力の供給、人や物の出入りなどを厳しく制限してきた。

ガザ地区ではジェノサイドも

 ガザ地区を統治するイスラム組織ハマスは抵抗を強め、イスラエルは空爆や軍事侵攻を繰り返してきた。

 ハマスは2023年10月、イスラエルに越境して攻撃。これを受け、イスラエルはガザ地区へかつてない大規模侵攻を始めた。

 多くの住宅や生活インフラ、教育・医療施設が苛烈な空爆で破壊され、ジェノサイド(大量虐殺)が起きた。既に7万人以上が命を奪われている。

米国で賞受賞の詩人の作品が問題に

 そんな状況の中、灘中の入試で出題された詩の一つは、ガザ地区出身の詩人、ムスアブ・アブトーハーさんの作品だ。題は「おうちってなに?」。

 ムスアブさんは、米誌にガザ地区に関する論説を書いた。米国の卓越した報道や文学作品などに贈られるピュリツァー賞を、25年に受賞している。

 作品はこんな内容だ。

 通学路の木立や結婚式の時に撮影された白黒写真、祈りに使う敷物、かまど、カフェ――。

 パレスチナ自治区の何気ない日常の幸せを、「おうち」(home)という単語に投影して親が子に語り、ふるさとがとめどなく破壊される様子を描く。

 入試では、表現の意図が問われた。

「あたし かずじゃない」

 もう一つの詩は、パレスチナ系米国人詩人のゼイナ・アッザームさんによる「おなまえ かいて」。

 子どもが、自分の足に消えない油性ペンで名前を書いてほしい、と母親に頼む内容だ。

 その一節にこうある。

 「そしたらみんな あたしたち かぞくだったって おもいだしてもらえる」

 「あたしたちのこと あしがしょうげんしてくれる」

 詩では「ガザでは、自分や子どもが殺されても身元がわかるよう、子の名前をその足に書くことにした親もいる」と報道されていることにも触れている。

 その上で入試では、詩にある家族の状況や、「おもいだしてもらえる」とは、どのような人が思い出すのか、「あたし かずじゃない おなまえがあるの」という一節に込められた意味などを答えさせていた。

「とても光栄」

 この2編の詩は入試で取り上げられたことで、これからも過去問として数多くの受験生の目に触れることになる。

 ゼイナさんは、詩を日本…

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