「歴史的」 新宿・紀伊国屋書店で初、オールナイトイベントの熱気
本来であれば静まりかえっているはずの閉店後の本屋の前に、長い列ができていた。
東京都新宿区の紀伊国屋書店新宿本店が初めて開催したオールナイトイベント「KINOFES2026」。閉店後の本屋を会場に作家や歌人によるトークイベントやツアーなどが催された。
出版不況や本屋離れといわれて久しい昨今、634枚の入場チケットが4時間で完売したほどの人気ぶりだ。
「本屋を巡るイベントとして歴史的瞬間」
登壇者もそう語った一夜をリポートする。
まるで音楽フェスのような熱気
1月31日午後8時過ぎ。開場30分前にもかかわらず、紀伊国屋書店前にはすでに30人ほどの列ができていた。
「友達に誘われて参加しました。漫画の編集者のトークイベントが楽しみです」
最前列に並んでいた神奈川県の会社員の女性(33)はこう語って笑顔を見せた。
書店入り口ではイベントオリジナルのTシャツやタオルなどが販売され、さながら音楽フェスのような雰囲気だ。
参加者より一足先に店内に入ると、閉店後の書店をフェス会場に変えるべく、書店員たちが大急ぎで準備を進めていた。
「本屋で、夜明けだ。」
薄明の空を表現したのぼりが次々と立てられていく。キャッチコピー通り、「KINOFES」の開催時間は、書店閉店後の午後8時半から翌朝午前6時まで。1~8階のフロアが会場となる。
突き詰めた「本屋に来る価値」
一晩で用意されたプログラムはおよそ20に及ぶ。
東大名誉教授の上野千鶴子さんと作家の鈴木涼美さんによる対談や、俳優で作家の松井玲奈さんによるトークショーなど、人気作家が登壇するイベントもあり、どこに足を運ぼうか迷ってしまう。フェスならではの楽しい悩みだ。
書店でフェスを行うという発想はどのようにして生まれたのだろうか。
紀伊国屋書店新宿本店の星真一店長は「書店に来なくても本を買うことはできるが、本屋に来る価値というものを突き詰めていきたいと思った」と話す。
星店長によると、人々が書店を訪れる大きな理由の一つは…
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