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藤原章生の不思議なムトゥワ

「人類の未来のために書き残した」という南アフリカの予言者クレド・ムトゥワ(1921~2020年)。知られざる哲学者の謎に迫ります。

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藤原章生の不思議なムトゥワ

来日が転機か 南アのシャーマン・ムトゥワ、政治や信仰の発信増え

日本の山岳修験者のようにムトゥワは聖山を歩き回った=南アフリカ自由州のモトゥレン洞窟近くで2025年10月
日本の山岳修験者のようにムトゥワは聖山を歩き回った=南アフリカ自由州のモトゥレン洞窟近くで2025年10月

 見抜く力、未来を読む目をそなえたクレド・ムトゥワは1985年、バブル経済が始まる直前の日本に、何を感じたのか。<日本滞在のあと、私は日本人を深く愛し、尊敬するようになった。なぜなら、彼らの習慣の中で、南アフリカ人の心に響かないものは何一つなかったからだ。それほどまでによく似ていた。私は自分が日本人と一体だと感じるようになった>(筆者訳、一部略、以下同)

 南アフリカの特派員だった藤原記者の連載「不思議なムトゥワ」は今回が8回目。これまでの記事はこちらで読めます。

「私たちは何かに導かれている」

 これは彼が80年代末に書いた「夢、預言、そして神秘」という随筆(本「ズールー・シャーマン」収録)の言葉だ。「英知への道」という小見出しがついた文章はこんなふうに始まる。

 みな自分が運命の主人公だと思っているが、私たちは何かに導かれている。国家や大陸、世界、宇宙も何かに動かされている。人類はいま災いのふちに立たされている。宗教から引き離された科学が地球環境を壊し、私たちの体をむしばんでいる。

 凡人の私でも、平和を生みだしたい。人々は分断されている。創りたい人と壊したい人に。私は失われたものをよみがえらせたい。世界を自分が生まれたときより良い場所にしてこの世を去りたい。

心に触れれば恐怖は吹き飛ぶ

 大事なのは対話だ。紛争は、違う派閥、国、人種が互いを知らずに起きる。戦争を生むのは恐怖と憎しみで、それらは無知がもたらす。武器商人に必要なのは人々の無知なのだ。

 通りを歩き、見知らぬ人があいさつを返さなければ心がゆがむ。相手は醜く見え不快なにおいさえする。敵をつくるのは自分の魂だ。

 その人をじっくり観察すれば、自分と同じところが見つかる。悪意や私利私欲の人は、私たちにそれを見つけさせたくない。違う、と思わせ、人の心に壁を作らせる。外見に惑わされず心に触れれば、恐怖など吹き飛ぶのに――。

外国人排斥、分断強まる

 このくだりで、日本人とアフリカ人が似ているという話が始まる。きっと来日前のムトゥワにも、「日本人だけは異質だ」という先入観があったのだろう。

 いまの日本は、85年当時より、外国人排斥や分断があらわになったよう…

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