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「石棺」案も出た廃炉の最終形 早期の更地化を阻んでいるものは

東京電力福島第1原発3号機の廃棄物処理建屋=福島県大熊町で2026年1月20日午後1時2分、平川義之撮影
東京電力福島第1原発3号機の廃棄物処理建屋=福島県大熊町で2026年1月20日午後1時2分、平川義之撮影

 東京電力福島第1原発は、2051年までの「廃炉完了」が目標に掲げられている。しかし、その時の敷地の姿は、更地になるのか、施設が残るのかなど、何も具体的に決まっていない。多くの地元自治体は更地化を望むが、51年までの完了も更地化も、極めて難しい状況だ。障壁となっているものは何なのか。

事故以降「誰も見ていない」タンク

 「廃炉とは、私たちの感覚からすると自然に戻すということだ。何ら疑問もなく更地だと思っている」

 2月下旬、経済産業省に復興の要望を伝えに来た福島県双葉町の伊沢史朗町長は、「廃炉の最終形」について報道陣に問われ、そう言い切った。

 毎日新聞が実施したアンケートでも、双葉町を含む福島第1原発周辺の13市町村のうち、7市町村が原発跡地の更地化を希望していると回答した。ただ、更地化に向けた道のりは平たんではない。

 1月中旬、記者は福島第1原発を訪れた。2号機と3号機の間にある道を歩くと、水素爆発で鉄骨がむき出しになった3号機の原子炉建屋が見えてきた。その手前には、原子炉建屋よりも小ぶりな廃棄物処理建屋がある。

 左側の一部は崩れ落ち、白い外壁には、放射性物質の飛散を抑えるためにかけられた緑色の薬剤の跡が雨だれのように残る。この地下には、原子炉の配管内の不純物を取り除くための樹脂が入ったタンクが複数置かれている。

 タンクの容量は一つ20~30立方メートル。3号機が運転を始めた1976年からたまり続けているが、一度も回収されていないという。…

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