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原発事故の跡地利用に「遺構」支持する声 「議論早すぎる」の指摘も

東京電力福島第1原発の3号機=福島県大熊町で2026年1月20日午後1時19分、平川義之撮影
東京電力福島第1原発の3号機=福島県大熊町で2026年1月20日午後1時19分、平川義之撮影

 政府と東京電力は、2051年までに福島第1原発の廃炉を完了させる目標を掲げる。廃炉完了の姿は未定で、敷地をどう活用するかはまだ白紙の状態だ。溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しなどの作業は先が見通せておらず、跡地利用を議論するには時期尚早だとする声も多い。そんな中、跡地を「原発事故の遺構」とする考えが出始めている。

地元高校生「風化させない」

 1月31日、福島県広野町の中高一貫校「ふたば未来学園」で、活発な意見交換があった。

 「廃炉をして何もなくなるということで、本当によいのか」

 早稲田大の松岡俊二教授(環境経済学)は、住民や原子力の専門家、東電や政府の関係者らがオンラインも含め約100人参加する対話の会で疑問を投げかけた。会合は18年から復興や廃炉をテーマに続けている。

 自身は、福島第1原発の一部を広島市の原爆ドームのように「遺構」として残すことを提案している。「原発は負の遺産だが、どう将来に伝えるかは事故を起こした今の世代の責任だ」と、今から議論する必要性を訴える。

 同高校2年の藤東佑和さんも遺構を支持する。修学旅行で原爆ドームを訪れた経験も基に「時間の経過とともに原発事故を伝えていくことが難しくなっていくと思う。風化させないためにも形として残るものが大事」と話す。

 「遺構」を検討する考えは、毎日新聞のアンケートでも一部の市町村から出ていた。福島県と原発周辺の13市町村の首長に廃炉後の跡地利用について複数選択式で尋ねると、田村市、…

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