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ウクライナ侵攻

ロシアがウクライナに全面侵攻してから26年2月で4年を迎えます。現場では今、何が起こっているのか。トランプ米大統領が意欲を示す停戦の行方はーー。

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ウクライナ侵攻4年~戦禍に耐える

歩兵は「生きた盾」 上官の判断に疑問、ウクライナ脱走兵が語る現実

キーウ市内のリソバ墓地では、戦死した兵士の追悼式が行われていた=キーウ市内で2026年2月17日、宮川裕章撮影
キーウ市内のリソバ墓地では、戦死した兵士の追悼式が行われていた=キーウ市内で2026年2月17日、宮川裕章撮影

 ロシアが侵攻を続けるウクライナでは戦闘の長期化で兵員不足が深刻化している。脱走や徴兵逃れが後を絶たず、ウクライナ国防省は1月、脱走兵の数は20万人に上ると明らかにした。彼らは何を思い、脱走を決意するのか。記者は指定された場所に赴いた。

 モルドバ国境に近いウクライナ南部オデーサ州の人通りの少ないある村を訪ねると、ウクライナ軍から脱走したセルヒさん(28)とエフゲニーさん(29)が姿を現した。人目を避けながら近くの平屋建ての民家に記者を案内し、脱走の経緯を話し始めた。

 この記事には以下の内容が含まれています
 ・車に押し込んで動員、反発生む強引な「人狩り」
 ・徴兵巡る国と忌避者の「攻防」、賄賂で免除も
 ・<解説>ロシア軍も脱走に厳罰、拷問や処刑も

 タイル関係の仕事をしていたセルヒさんは2024年末、業務中に地方の徴兵事務所の担当者に声をかけられた。車で事務所に連れられると、そのまま軍に動員された。「抵抗することも考えたが、無駄だと思いあきらめた」

 防空軍を経て海兵隊空挺(くうてい)部隊に配属され、東部の前線を転戦した。25年春には後方から砲撃などで援護する火力支援部隊に移り、激戦地となった東部ドネツク州ポクロウシクから北に約10キロの村に潜んだ。

 約1カ月後、ロシア軍の猛攻を受けた。無人航空機(ドローン)や迫撃砲、狙撃兵などの攻撃に一日中さらされ、極度の緊張状態が続いた。「敵のドローンが急接近するのが見え、榴弾(りゅうだん)が爆発した」。金属の破片が飛び散り、家屋の厚さ50センチの壁を貫いた。砲撃で飛散した石で背中に重傷を負った。

 祖国のために命をささげる。多くの兵士がそう理想を語る。だが、セルヒさんが戦場で見た現実は違った。「前線では正確な情報が提供されず、兵員の交代もなかった。歩兵はただ『生きた盾』として使われていると感じた」

 所属した部隊の小隊長はある日、セルヒさんに充電器と水を運ぶよう命じた。指示された輸送路が、地雷原の中にあったことを後で知った。小隊長と部下の関係は良くなかった。命令に悪意があったのかは分からない。…

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