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兵庫県姫路市の棗田(なつめだ)瑞代さん(52)には約20年間、何百通もの手紙のやり取りで支えてくれた人がいた。2017年に初めて会うまで顔も見たことがなかった。まるで「あしながおじさん」だ。
11歳年上の夫と死別したのは、結婚6年がたった25歳の時だった。店舗兼住宅を購入し理容店を営みながら、子ども2人と暮らしていた。膵臓(すいぞう)がんと分かってからの闘病生活はわずか8カ月。「俺の家族の幸せを奪うのは、もうやめてください」。大手術後に転移が見つかり、夫はそう書き残した。
最愛の人を失っても、棗田さんは悲しみに浸ることが許されなかった。生活のため、朝から晩まで働く毎日。誰も自分の気持ちは分からない、と殻に閉じこもり、アルコールに頼るようになった。
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