混迷が続くイラン情勢は、米国との長期的競争に備える中国にさまざまな検討課題を投げかけている。その一つは、西半球優先に転じたはずの米国がなぜイスラエルと共に中東での軍事行動に踏み切ったのか。台湾問題への米軍介入を警戒する中国には人ごととは言えない。そこで中国内の論壇で注目を集めるのが「日本は東アジアのイスラエルとなるか」との問題提起だ。
「国家統一の問題を巡り、日本が『東アジアのイスラエル』となり、米国を引きずり込み、中国に圧力をかける事態をいかに防ぐか。これは仮説ではなく、既に現実的な問題だ」
そんな持論を展開したのは中国の政治学者、鄭永年氏だ。政府のブレーンとも言われ、現在は広東省深圳市にある香港中文大(深圳)公共政策学院院長を務めている。
鄭氏は中国紙「新京報」の取材に「イスラエルが米国を操っているとか、米国を(中東の紛争に)引きずり込んだとか言われるが、日本の戦略はイスラエルと何が違うのか。日本は、米国を東アジア情勢や台湾問題に巻き込もうとしている。『台湾有事は日本有事』との考え方が戦争を引き起こすリスクは非常に高い」と指摘した。
そのうえで、鄭氏は次の問いを投げかけた。「中国はイランの戦争の当事者ではないが、自らに問わねばならない。同じような事態に直面した時、我々はどのように対処するのか」
日本からすれば違和感のある見解だとしても、中国の視点に立てば、米国の抑止力をアジアにつなぎ留めようとする日本の動きは、イスラエルが自らの安全のために米国の軍事介入を引き出すことに成功したイラン情勢と重なる。
中国では、以前から日本が米国との同盟関係を利用し、中国に対抗しようとしているとの見方が根強い。3月の高市早苗首相の訪米に関する中国紙「環球時報」の社説も「高市氏は日米首脳会談で軍事・安全保障協力の深化を全力で推進しようとし、米国を引き留めて対中カードを増やすことを望んだ」と論じた。
ただ、ここで一つの疑問が生じる。中国の周辺で…
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