連載

真相・ニュースの現場から

さまざまな事件や出来事の裏に隠された秘話、ヒューマンストーリーに迫ります。                   

連載一覧

真相・ニュースの現場から

安心して自転車で走れない 「車優先」のツケ 道路整備、道半ば

一時停止の標識を守るよう自転車の利用者に声をかける取り締まり中の警察官(右)=東京都墨田区で2026年3月27日午前9時47分、後藤由耶撮影
一時停止の標識を守るよう自転車の利用者に声をかける取り締まり中の警察官(右)=東京都墨田区で2026年3月27日午前9時47分、後藤由耶撮影

 自転車の交通違反に「青切符」を交付して反則金を科す改正道路交通法が1日に施行された。交通ルールの徹底を図るのが狙いだが、ルール通りに自転車が安心して走行できる道路環境は、まだ十分に整っていない。車側も今回を機に意識改革を進める必要があり、課題が残る中での新制度のスタートとなった。

 身近な乗り物の自転車の交通違反に対する取り締まりの仕組みが大きく変わりました。
 このほか、<「自転車は邪魔者」の意識変わるか 追い越し時、車側に新規定>の記事では、車側が気をつけなければならないルールや取り締まりにあたっての警察の考えをまとめました。

自転車走行空間をふさぐ駐停車車両

 自転車の走行空間を巡っては、「車優先」の道路整備が続いてきたひずみが生じていると専門家を中心にかねて指摘されてきた。

 3月下旬の平日の夕方。東京・赤坂見附から表参道の青山通り(国道246号)を記者が自転車で通過すると、2・5キロの間に60台以上の車が駐停車していた。

 道路の左端には、自転車が走る位置を示す青色の矢羽根型の路面標示や、路面が青く塗られた自転車専用の「自転車レーン」があるが、駐停車車両がそれを隠してしまっている。

 道路交通法は自転車の走行場所を「車道が原則で、左側を通行」と定めるが、ここでは駐停車車両を右側に膨らむ形で追い越すか、歩道を徐行するしかない。

 警察庁が2023年に実施したアンケートでは、自転車の交通ルールで不合理・危険だと思うものへの回答に「都内は路上駐車の車が多く、よけて右に出なくてはならず非常に危険」というものがあった。

ルール違反を見過ごしてきた結果

 自転車への反則金の導入は、ルール違反が目に余る状況にまで進んだことが背景にある。NPO法人自転車活用推進研究会(東京)の小林成基理事長は指摘する。「自転車利用者がルールを守れない道路環境を放置し、違反を見過ごしてきた結果、ルールを守らなくてもいいと思う人が増えてきたのではないか」

 小林さんは、矢羽根型の路面標示の整備を各地の自治体に働きかけてきた。しかし、駐停車車両の問題は一向に解決されない。研究会は、自転車への反則金導入に賛成する一方で、「自転車が安心して走れるように実態とルールをそろえるべきだ」と要望する。

 自転車に関する道路整備は数値目標が定められている。17年に自転車の活用推進を国や自治体の責務と定めた自転車活用推進法が施行され、推進計画の策定が政府に義務づけられた。

 縁石や柵で物理的に分離された「自転車道」のほか、自転車レーンと矢羽根型の路面標示がある道路を合わせた整備延長は、16年度の1247キロから24年度には約8倍の9841キロへと拡大した。26年度からの第3次推進計画では、30年度までに1万2000キロへと延ばす方針だ。

車線を一部減らし、自転車レーンに

 ただ大半は自転車の走行空間が明確に区切られず「車道混在」…

この記事は有料記事です。

残り987文字(全文2187文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

この記事の筆者

すべて見る

アクセスランキング

1時間
24時間
SNS

スポニチのアクセスランキング

1時間
24時間
1カ月