亡き兄と共に歩む飲酒運転撲滅 講演1600回の母の思い継ぐ
毎日新聞
2026/4/5 12:00(最終更新 4/5 17:48)
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静まり返った自宅でテレビをつけると、画面の中で母が泣きながらインタビューを受けていた。当時、中学生だった山本航平さん(29)=福岡市=は反射的にテレビを消した。いつも隣にいた2歳上の兄を突然奪った飲酒運転事故から、わずか数カ月後。「涙が止まらなくなり、見ていられなかった。事故を思い出すこと自体が、つらかった」
事故は15年前の2011年2月9日夜、福岡県粕屋町で発生。私立博多高1年だった山本寛大(かんた)さん(当時16歳)と同級生の皆越隼人さん(同)の2人が町道を歩いていたところ、背後から飲酒運転の車にはねられ、いずれも亡くなった。
「寛大が死んだ」。翌日の早朝、父親に起こされ、そう告げられた。頭が混乱し現状を理解できないまま、私服に着替え、葬儀場に向かうため車に飛び乗った。静まり返った車内。真剣な表情でハンドルを握る父親にいろいろ聞こうとして、やめた。「聞いてしまうと、寛大の死が確定してしまうと思った」
兄は葬儀場で布団の上に寝かされていた。ひどく腫れ上がった顔。隣で母美也子さん(57)が号泣していた。頭の中で複数の問いがぐるぐると回転した。「寛大はもう起きないの?」「…
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