「堪忍袋の緒が切れる史上最悪の制度改定が、ここ数年で起きようとしています」。再生可能な地域づくりをテーマに鳥取市で3月に開かれたシンポジウムで、社会学者で東大名誉教授の上野千鶴子さんは危機感と怒りをあらわにしました。利用者の支援からかけ離れた介護保険制度の改定についてです。
介護保険法は総則で「(要介護者の)尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができる」ために必要な事項を定めるとうたい、一人一人が人生最期まで地域で自分らしく生きられる社会の実現を目指し、2000年に施行されました。介護を家族だけでなく社会全体で担う理念のもと、国と地方自治体の公費と、40歳以上の利用者を含む国民による保険料で賄われています。超高齢化社会に向けて持続可能な画期的な制度としてスタートしました。
しかし3年に1度の介護報酬の改定で、2024年に訪問介護の基本報酬が引き下げられました。さらに、厚生労働省の審議会では、原則1割の利用者負担が2割負担となる人の対象拡大▽要介護1、2の人の生活援助サービスを市町村に移行▽現在無料のケアプラン作成費を利用者負担にする―などの案が検討されました。案は見送られましたが、制度発足当時から介護現場を見てきた上野さんは、次回27年の改定で再浮上することを強く…
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