発達障害の人が働きやすい職場とは? レンガから石垣モデルへ
発達障害など、脳や神経に由来する特性の違いを多様性と捉えて尊重する「ニューロダイバーシティー」という考え方が広がっています。人材戦略に取り入れる企業も出てきました。発達障害のある人が働きやすい職場作りにつながるのでしょうか。企業向けにコンサルティングなどを行っている臨床心理士の村中直人さんに話を聞きました。
――ニューロダイバーシティーについて教えてください。
◆脳や神経、それに基づく認知の働き方など、個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性と捉えて尊重し、社会の中で生かしていこうとする考え方です。
元々は1990年代、自閉スペクトラム症(ASD)の人たちの権利擁護運動の中で生まれました。ASDを障害ではなく、アイデンティティーとして捉え直す動きです。
障害の有無にかかわらず、私たちの脳や神経、認知の働き方は一人一人異なることが、研究などでも分かってきました。例えば、無意識に注目する対象が全体か細部か、人か物かといった違いがあります。ASDだけの話ではなく、全ての人の違いを理解する視点としても注目されています。
――「ニューロダイバーシティー」の一環として、企業が優れた能力のある発達障害の人を採用する動きがあるようです。
◆現在のビジネスの文脈では、ニューロダイバーシティーの概念が本来の定義より狭く捉えられていると感じます。企業側は、企業に変革をもたらしてくれるような、才能のある人だけを受け入れている印象です。そうした人材は多くはないので、発達障害の人の雇用全体には広がっていません。
狭義のニューロダイバーシティーでは、特殊な才能のある人材のみが恩恵を受けるとの批判があります。能力主義的な考え方につながりかねないことは課題です。
今の会社の組織構造を、私は「レンガモデル」と呼んでいます。人間を画一的なものと見なして、レンガを積み上げていくように組織を作っていく。出来上がったガチガチのレンガに障害者雇用のための穴を開け、そこに人材をあてがっています。
――どのような転換が必要なのでしょうか。
◆私は…
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