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藤原章生の不思議なムトゥワ

「人類の未来のために書き残した」という南アフリカの予言者クレド・ムトゥワ(1921~2020年)。知られざる哲学者の謎に迫ります。

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藤原章生の不思議なムトゥワ

神道はシントゥ? アフリカ人と日本人 その信仰は同じなのか

生涯、旅をつづけたクレド・ムトゥワが眠る半砂漠の地。彼の墓地から見た夕空
生涯、旅をつづけたクレド・ムトゥワが眠る半砂漠の地。彼の墓地から見た夕空

 クレド・ムトゥワ(1921~2020年)は85年に初来日し京都や広島を訪ね、日本を深く愛するようになった。広島で涙にくれたのは、日本人が自分たちとよく似ていたからだと彼は直感した。

南アフリカの元特派員による連載「不思議なムトゥワ」は今回が9回目。これまでの記事はこちらで読めます。

日本人を見抜く

 <彼ら(日本人)が実践している習慣の中で、南アフリカ人の心に響かないものは何一つなかったからだ。それほどまでによく似ていた。私は日本人を愛し、彼らは私と一体だと感じるようになった>(筆者訳)。随筆集「星々の歌」でそう書いている。

 アフリカ人と日本人のどこが似ていると感じたのか。弟子らの証言によれば、ムトゥワは彼を訪ねてくる患者を見た途端、その人の悩みから来歴、将来起きることまでを一瞬で言い当てた。彼は南アの呪術師サンゴーマの中でも際立っていたので、サヌーシという称号を授かった。サヌーシはズールー語のヌーガ(嗅ぎ分ける)という動詞からきていて、「真実を見抜く者」のことだ。サハラ砂漠の南に広がったバンツー系民族でも歴代、数えるほどしかいない。

 そんなムトゥワのことだから、日本に来るやいなや、日本人を見抜いたのだろう。来日早々、京都で開かれた第9回トランスパーソナル国際会議での講演「癒(いや)しに対するアフリカの貢献」でこう語っている。

 <教育を受け、読書家であると自認するわれわれは、神と宇宙の真理を、当てにならない人間たちの著作に捜し求める。しかし、もっとも偉大な著作、最高の聖典とはわれわれの同胞の心と魂の中に書きつけられたものなのだ>(講演集「宇宙意識への接近」、井田真木子訳、一部略)

文献に頼らずに

 本に頼らず、人の心、魂を見よ、ということだが、これが難しい。実際、私のように特殊な能力がない場合、どうしても本に答えを求める。初めての国に行く際、その国の小説を徹底的に読めば、人の意識がわかると誰からともなく言われ、長くそうしてきた。日本なら芥川賞作品やその候補作を過去10年分も読めば、いまの日本人の気分がある程度はわかるということだ。

 もちろん、歴史書や評論もいいが、小説はその国をリアルに見せてくれる。いまなら生成AIが膨大な本をまとめ、うまく解説してくれるだろう。

 何かに取りつかれたような「自動筆記」で、しかも誤字一つなく書いてしまうムトゥワは文献に頼らなかった。彼は哲学から言語学まで、あらゆる知識を本ではなく人か、えたいの知れない何かから得ていた。

「日本の偉大な神主」

 <日本の地を踏んでから数日にしかならないが、その間、私は自分と私の子どもの心に永遠に残るであろう奇跡を見た>

 <私がこの地で見た儀式、これまで行われるのを見た風習のうちで、アフリカ文化と明白な相似関係をもたないものはない。ほんの今しがたも、私は日本の偉大な神主が、私がヨハネスブルグの聖なる村、ソウェトゥで行うのとまったく同じ…

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