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ナフサ「4カ月分確保」 政府アピールの実態は? くすぶる不安

商船三井の原油タンカー「KIRISHIMA」=東京湾で2026年4月3日午後2時36分、本社ヘリから平川義之撮影
商船三井の原油タンカー「KIRISHIMA」=東京湾で2026年4月3日午後2時36分、本社ヘリから平川義之撮影

 米国とイランが2週間の停戦に合意し、この期間は安全にホルムズ海峡を通過することが可能になるとされている。ただ、実際に安全は確保されるのか、2週間後はどうなるのか、先行きは不透明なままだ。

 その一方で、停戦合意前に原油の輸入とともに不安視されていたのが、石油化学製品の原料となる「ナフサ」の供給だった。停戦合意を受け、供給の改善は期待できるのだろうか。

さまざまな石油化学製品の原料に

 最近、頻繁に耳にするようになった「ナフサ」は、無色透明の液体だ。原油を精製すると「重油」「灯油・ジェット燃料」「ガソリン・ナフサ」などを取り出せる。

 ナフサを熱で分解するなどすれば、さまざまな石油化学製品の原料ができる。エチレンやベンゼンなどの「基礎化学品」だ。

 さらに、それぞれの基礎化学品に化学的な処理をすると、ポリエチレンや合成ゴム、ポリエステルなどの製品になる。

 こうした製品を、経済産業省や化学メーカーは「川中製品」と呼んでいる。

 ナフサが最終的な製品になるまでの流通経路を川の流れに例え、川中製品は流通の中間段階で取引されているからだ。

 川中製品をさらに加工するなどしたら、プラスチック製品やゴム製品、電子部品、繊維製品といった「川下」の製品ができあがる。

多くが中東由来

 このように、ナフサは現代生活を支える重要な物質だ。原油の精製により国内で生産されるのは約4割、残りは輸入している。

 輸入分のうち、アラブ首長国連邦(UAE)やクウェートなど中東からは約7割を占める。

 その上、国内で精製する原油の約9割を中東に頼っているので、実質的にはナフサの多くは「中東もの」だ。

 こうした状況を受け、中東情勢の緊迫化によりホルムズ海峡が事実上、封鎖されると、ナフサ不足が懸念され出した。

 今年3月に入ると、三井化学など複数の化学メーカーが、基礎化学品に当たるエチレンの減産を決めた。

 3月下旬に開かれた石油化学工業協会の定例記者会見。会長を務める工藤幸四郎・旭化成社長は危機感をあらわにした。

 「(生産現場で)稼働が止まらないことを最優先にしている。各社ギリギリの判断をしている」

高市首相がナフサ不足を否定

 その中で、今月5日だった。

 「昨日の一部報道番組で、ナフサの供給について、『日本は6月には供給が確保できなくなる』との指摘がありました。(中略)少なくとも国内需要4カ月分を確保しています」

 高市早苗首相はX(ツイッター)で、ナフサ不足を否定したのだ。

 ただ、「国内需要4カ月分」というのは、ナフサそのものの備蓄が4カ月分という意味ではないという。高市首相や経産省の説明はこうだ。

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