中国共産党の習近平総書記(国家主席)と台湾の最大野党、国民党の鄭麗文(ていれいぶん)主席(党首)は10日、北京の人民大会堂で会談した。台湾海峡の緊張が続く中、両党がともに平和と対話に向けた連携イメージを打ち出し、中国と距離を置く民進党の頼清徳政権をけん制する形となった。
国共トップによる会談は2016年11月に習氏と洪秀柱主席(当時)が行って以来9年半ぶり。
国営新華社通信や国民党によると、習氏は中台が同じ中華民族に属するとした上で、両党が手を携えて祖国統一と民族復興を成し遂げなくてはならないと呼びかけた。1992年に中台の窓口機関が「一つの中国」について口頭で合意したとされる「92年コンセンサス」の堅持と台湾独立反対を改めて強調した。
台湾統一を悲願とする習指導部は、対中融和的な鄭氏への接近で台湾世論に揺さぶりをかけ、「台湾独立勢力」とみなす民進党の頼政権に圧力をかける狙いがある。会談で習氏は「社会制度の違いは分裂の言い訳にならない」と強調し、「台湾独立」反対で鄭氏と一致した。
一方、鄭氏は会談で政治的な対立を乗り越えて、戦争を避ける制度的な解決案を探るべきだと主張。「台湾海峡を外部勢力が介入するゲームの舞台にしてはならない」と述べた。民進党が文書が残されていないことを理由に存在を認めていない92年コンセンサスについても、中台それぞれが「一つの中国」の堅持を表明したもので「歴史的事実は否定できない」との認識を示した。
鄭氏は今回の会談が、28年の総統選やその行方を占う今年11月の統一地方選で国民党にプラスになると見込む。会談後の記者会見で中台問題が選挙の大きな争点になるとの認識を示した上で「有権者の信任を勝ち取り、平和を推し進めたい」と訴えた。
中国側の招待による今回の鄭氏の訪中は、5月中旬に予定されるトランプ米大統領訪中前に行われた。武力による台湾統一の選択肢を排除していない中国は米国から台湾への武器売却に反発しており、米中首脳会談の前にあえて、台湾の防衛力強化に反対する鄭氏との会談日程を入れた可能性もある。
一方、台湾の頼政権は国共トップ会談は中国による統一工作だと批判する。民進党は10日に発表した談話で「中国は分裂や利益誘導によって台湾人の選択に介入すべきではない」と主張した。【台北・林哲平、北京・畠山哲郎】
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