力こそ正義か? 栗山民也さんと若村麻由美さんが舞台で問う
英国のスコットランド、イングランド両女王の悲劇を描く舞台「メアリー・ステュアート」。ドイツ古典主義を代表する劇作家で詩人、フリードリッヒ・シラー(1759~1805年)の代表作は、約200年前の作品誕生以来、世界中で上演されてきた。
そんな名作に、演出家の栗山民也さん率いるパルコの新たな座組みが挑む。英国演劇界の気鋭、ロバート・アイクさんがシラーの原作を脚色したバージョン。
栗山さんが「アイクはあくまでも古典として書いていますが、言葉や設定からは現代が透けて見えます」と語れば、ヒロインの一人、エリザベス1世役の若村麻由美さんは「あらゆる要素が今に通じています」と述べる。
ノートに書き留めた作品
栗山さんによれば「僕は大学時代からノートの余白に『これ、もしかしたら芝居になるかな』と思う作品をつづっていて、それが時代と見合ったと感じた時に手がける」のだそう。
「今年3月に東京・明治座で演出した『大地の子』もそうでしたし、『メアリー・ステュアート』もノートに書き込んでいた作品の一つです」。現代に通じる何かがあるはずと、気にかけていた。
そうして出合ったのがアイク版だった。アイクさんは2021年に栗山さんが東京・パルコ劇場で演出した「ザ・ドクター」の作者でもある。
栗山さんは「稽古(けいこ)をしながら、ドキッとする言葉がたくさんあります。例えば『正義』。最近、『力を持つことが正義』といった風潮があるでしょう」と指摘する。
若村さんも「(エリザベスの老臣である)タルボットのセリフに『過半数が賛成したからと言って、それが正しいとは限りません。イングランドがこの世のすべてではない』という一節があります」と紹介する。
古びた物語ではなく、まさに21世紀の民主主義社会の危うさを突いた作品と受け止めているのだ。
歯を食いしばるエリザベス役
エリザベスは、夫殺しに加担した疑いでスコットランドから逃げてきたメアリー(宮沢りえさん)を19年間、軟禁する。イ…
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