「暗黒」を生き延びる 斎藤幸平さんが語る新しい社会主義の道

「黙示録」という言葉をタイトルに選んだ理由を語る斎藤幸平・東京大准教授=東京都目黒区で2026年3月23日、内藤絵美撮影
「黙示録」という言葉をタイトルに選んだ理由を語る斎藤幸平・東京大准教授=東京都目黒区で2026年3月23日、内藤絵美撮影

 「未来が明るいと信じることは難しい」

 経済思想家の斎藤幸平さん(39)はそう言い切る。

 2020年代、気候変動による文明の危機は、後戻りできない段階に突入したとみる。食糧や資源の生産・供給への影響があらわになり、慢性的に物資が不足する「恒久欠乏経済」に陥るのも時間の問題だという。

 重大な局面に立たされている私たちが、生き延びるための方策とは――。

 気候危機の根本原因である資本主義の矛盾を撃ち、50万部超のベストセラーとなった『人新世(ひとしんせい)の「資本論」』の発表から5年半。斎藤さんが同じ集英社から続編『人新世の「黙示録」』を刊行した。

 描くのは唯一の希望にして大胆な未来、その名も「暗黒社会主義」への道だ。

今は「平時」ではなく「戦時」

 未来を語るのに「暗黒」?

 そう思うかもしれない。不穏な響きはスターリン主義の弾圧や粛清をも連想させるが、「そういう話ではない」と斎藤さんはきっぱり否定する。

 むしろ「暗黒」なのはこの現実だ。

 20年代前半の世界の年間平均気温は、産業革命前(1850~1900年)から1・5度以上上がった。このままいけば、今世紀末には3度以上上昇し、世界は灼熱(しゃくねつ)の地獄になる可能性が高いという。

 気候システムが不安定になり、生態系の存続が危ぶまれる「気候崩壊」へと突き進む今は、「進歩」ではなく「後退」、「平時」ではなく「戦時」だと本書につづられる。

 実際、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザの虐殺、そして米国とイスラエルによるイラン攻撃など国際情勢も大きく揺らいでいる。

 もともと気候変動によってインフレや資源不足の傾向にあるが、国際紛争が欠乏経済に拍車をかける。

 こうした現実をまず受け入れなければ議論は始まらない、と斎藤さんは考える。つまり「未来は暗い」という絶望から出…

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