<何故に人類は、真に人間的な状態に踏み入っていく代りに、一種の新しい野蛮状態へ落ち込んでいくのか>
西洋文明を鋭く批判した名著『啓蒙(けいもう)の弁証法』(1947年)の序文でドイツの哲学者、アドルノ(03~69年)は共著者のホルクハイマーとともに主題を端的に表した。「今も、この序文を思い起こす場面が多い」。アドルノらに代表される学者集団「フランクフルト学派」の研究者である哲学者、細見和之・京都大教授(64)はそう話す。
細見さんが著した96年刊行の『アドルノ』(講談社)が文庫化された。原本発刊から30年。細見さんの危機感は、むしろ高まっている。
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