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縮小社会に生きる

人口減少や高齢化問題に直面し、縮小する地域社会。それを受け入れて力強く、しなやかに生きる人々の息づかいを記者がルポします。

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香典返しの寄付ルール、食事は女性任せ 老人クラブの不条理

ヒゲダンスを踊る檀上博一さん(左から2人目)ら=広島県福山市で2025年12月8日午後0時37分、関東晋慈撮影
ヒゲダンスを踊る檀上博一さん(左から2人目)ら=広島県福山市で2025年12月8日午後0時37分、関東晋慈撮影

 老人クラブの運営資金が、亡くなった会員の香典返しの寄付で賄われている――。

 約20年前、地域の老人クラブの会長となった広島県福山市の檀上博一さん(86)は、そんな現実に直面した。会員が亡くなるほど、財源が潤うシステム。他にも運営方法に疑問を感じることがあって檀上さんは老人クラブを離れ、新たな高齢者の居場所づくりに取り組んでいる。

補助金の不足を補うために

 田畑に囲まれた閑静な住宅街に、人気テレビ番組「8時だョ!全員集合」で話題を呼んだ「ヒゲダンス」のテーマ曲が響いていた。

 2025年末の昼下がり、檀上さんの自宅倉庫で地域の高齢者約10人が忘年会を開いた。口ひげのシールを付け、おなじみの軽快なメロディーに合わせて踊っている。最初は恥じらっていた人も徐々に盛り上がり、最後は笑い声があふれた。

 10年ほど務めた会長を退いた檀上さんは約4年前に自宅倉庫を開放し、地域の高齢者が気軽に集まれる場を作った。月2回、読んだ本の感想を発表し合ったり、オカリナの演奏会をしたりするサロンを開催している。「楽しい雰囲気だと、気軽に出かけようという気になる」と期待する。

 会長時代に檀上さんが問題と感じた一つが、運営資金のあり方だった。市内の老人クラブには、市が年間4万6560円の補助金を出している。しかし、補助金は使途に制約があり、活動費としても十分ではない。

 そこで当時、この地域には会員が亡くなると老人クラブから数千円の香典を渡し、遺族は香典返しとしてクラブに寄付をするという慣習があった。…

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