公共施設83棟処分 「賢く縮小」掲げ、町役場は「倉庫みたい」
岡山県北部の山あいにある美咲町の役場新庁舎は、住民から「倉庫みたい」と言われている。
旧庁舎の老朽化のため、2025年5月に建て替えられた鉄骨2階建て延べ約2900平方メートル。グレーで簡素な造りは、たしかに郊外の物流倉庫のようだ。執務スペースは旧庁舎より3割減り、議場は閉会日に会議室として利用されている。鉄筋にしなかったのは、将来の解体費用を抑えるためという。
住民、当初は反発も意識変化
美咲町は05年に旧3町が合併してできた。現在の人口は約1万2000人で、この20年で25%減った。
18年に県議から転身した青野高陽(たかはる)町長(57)が掲げるのは「賢く縮小するまちづくり」。コスト重視で建設した役場庁舎もその一つだ。縮むことを前提とした町政運営に当初は強い反発があったが、住民の意識は変わりつつあるという。
「施設の取り壊しを喜ぶ人はいない。嫌われることばかりしてきた」。そう語る青野町長がまず取り組んだのは公共施設の集約だった。就任当時、町内には旧3町の図書館や公民館などが残っており、住民1人当たりの公共施設の床面積は全国平均の2倍以上。施設の維持管理が重い負担になっていた。
廃止に向けて住民から理解を得るため、年間利用日数や収支などを記した「施設カルテ」を作成。これまでに解体や民間への売却で49施設83棟を処分し、町が抱える公共施設を減らした。「総論賛成、各論反対の連続。特に町営温泉の廃止は強く反対された」と苦笑する。
「賢く縮小」のもう一つの柱は、役場…
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