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死亡説、大麻、逮捕… 赤裸々すぎるポール・マッカートニー実録

「ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン」の一場面。ポール・マッカートニーが所有するスコットランドの農場にある「RUDE STUDIO」と名付けられた小屋のようなスタジオ前でポーズを取る、マッカートニー(右端)ら「ウイングス」の初期メンバー。右から2人目はマッカートニーの妻リンダ=Credit: Linda McCartney, © Paul McCartney under exclusive licence to MPL Archive LLP
「ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン」の一場面。ポール・マッカートニーが所有するスコットランドの農場にある「RUDE STUDIO」と名付けられた小屋のようなスタジオ前でポーズを取る、マッカートニー(右端)ら「ウイングス」の初期メンバー。右から2人目はマッカートニーの妻リンダ=Credit: Linda McCartney, © Paul McCartney under exclusive licence to MPL Archive LLP

 ビートルズやロックファンの間で、「ポール・マッカートニー派」っていうと、ちょっと肩身が狭いところがある。

 なんというか、通っぽくないのだ。

 でも私は言いたい。

 「ポールという人間は、ロックンロールそのものだ」

 そんなポールの本質を見事に捉えてくれた異例ずくめのドキュメンタリー映画「ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン」が、Amazon Prime Videoで独占配信中だ。

 ビートルズ解散時の彼の心境や、バンド「ウイングス」として活躍した1970年代を中心に描き、2025年2月19日に1日限定で劇場公開された。

“学級委員長”じゃない!

 中学生の頃、洋楽に詳しい友達は「ビートルズのソロは、ジョージ・ハリスンが一番」と言い、ポールの話ばかりする私(記者)は子供扱いされたものだ。

 今やスタンダードナンバーとなった「イエスタデイ」「レット・イット・ビー」という甘く美しい楽曲のイメージと、ビートルズ後期の「学級委員長」的な振る舞いがそうさせているのだろう。

 あるいはビートルズファンからは、「音楽的には一番すごいけれど、人間的にはちょっとね」なんて言われがちだった。

 しかしこの映画には、ロックなポールその人がいた。近年のビートルズやポール関連の映像作品では一番好きだ。

僕は嫌なヤツなんだ

 「ポール・マッカートニーの悪口を聞くと、つい同意したくなる。(中略)“僕は嫌なヤツなんだ”とね」

 映画は、ポール本人のこんな独白からスタートする。

 70年、ビートルズ脱退を最初に表明し、「ビートルズ解散の張本人」などと批判されたが、ビートルズ存続に最もこだわっていたのがポールだ。

 その前年、前衛芸術家のオノ・ヨーコと結婚し新しい音楽活動や平和運動に傾倒していたジョン・レノンから、「離婚を切り出されるような」形で、バンドの分裂に直面する。

 映画では、そうしたショックから、所有するスコットランドの農場で酒浸りになり、引きこもっていた様子や、相前後して世界中を駆け巡った「ポール死亡説」などを織り交ぜて展開する。

 そして、引きこもり生活から音楽活動への復帰、当時は酷評されたソロアルバムや、バンド「ウイングス」を結成して成功を収めていく70年代の10年間に焦点を当てた。

 今作の劇場版の字幕監修を担ったビートルズ研究家の藤本国彦さんは「本人にとって黒歴史といえる内容も描かれ、よくある『公式物』とは一線を画す。私自身、初めて見る映像や知らなかったことがたくさんあり驚きました」と話す。

30代の秘蔵映像満載

 今作は、米映画プロデューサーで監督のモーガン・ネビルが監督を手掛けた。

 よくある海外のドキュメンタリーでは、本人や周辺の人物へインタビューした映像が次々と差し込まれ、ともすると単調な構成になることが多い。

 しかし今作では、思い出を振り返るミック・ジャガー(ローリング・ストーンズ)らビッグネーム…

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