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「自分らしい最期」のための在宅医療・ケアは誰もが知っておくべきテーマ。現場の取材経験が豊富な中澤まゆみさんが、利用者目線で報告します。
妻の介護しながら夜間中高へ 東京大空襲体験の85歳 学ぶ幸せ
毎日新聞
2026/4/21 05:00(最終更新 5/1 15:52)
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ノンフィクションライター・中澤まゆみさんの連載「最期まで私らしく~知っておきたい在宅の医療とケア~」。今回は、妻の介護をしながら夜間中学・夜間高校を卒業した85歳男性を取り上げます。何が学びの原動力となったのでしょうか。
3月7日、東京都内の夜間定時制高校で、85歳の生徒が卒業しました。「もう一回、勉強したい」と、77歳で夜間中学に入学してから7年間、中高と通い続けた染谷豊一さんです。
この日、東京都立橘高校の定時制課程を卒業したのは12人。
卒業証書は通常、体育館のステージの上で卒業生に手渡されます。しかし校長の佐々木敏治さんは染谷さんの番になると、壇上から下りて卒業証書を手渡しました。染谷さんはつえが必要で、ステージに上るのが困難だからです。
「先生方の心遣いがうれしかったです」と染谷さんは語ります。
「自分の人生を振り返ってみると山あり谷ありで、あまりいい人生じゃありませんでした。家が貧しくて、満足に学校に通えなかったからね。社会に出たら、漢字が書けない、単純な計算もできない。だけど、学校にもう一度通うことで1が2に、2が3に積み重なって、いろんなことができるようになりました」
77歳で夜間中…
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