「キツネ目の男」の似顔絵、「どくいり きけん」の紙を貼った青酸入り菓子から採取された指紋……。警察庁指定114号「グリコ・森永事件」の犯人が残した痕跡は多い。警察はなぜ犯人にたどりつけなかったのか。煙のように消えた犯人はどこへ? 伝説の事件記者が今だから明かす「謎解き」の答えとは。
事件発生から数カ月後、捜査本部に1本の電話がかかってきた。ある刑事の妻からだった。「うちの主人は捜査本部に入れてもらって最初は喜んでいたのに、最近、金遣いが荒くなった。なんで仕事をするのに自分のお金をそんなに使わなあかんのですか」。抗議の電話だった。
「金遣いが荒くなったのは、多くの捜査員が時間を持て余し、喫茶店やパチンコ屋に通っていたからです」。険しい表情でそう語るのは「伝説の事件記者」と呼ばれる毎日新聞大阪本社の元社会部記者、吉山利嗣さん(78)だ。「捜査員たちは自分が課された仕事の目的も意味も分からず、やる気をなくしておったんや」
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