読書の「森」に迷い込む
書店や図書館、ブックフェスなど「本のある風景」を北陸3県で見て回っている。それぞれに楽しみ方があり、訪れる頻度もまちまちだが、私の場合、最も頻繁に訪れるのはブックカフェかもしれない。仕事で原稿の執筆が進まない時、決まって本のあるカフェに行くからだ。
福井市の足羽山のふもとにある自家焙煎(ばいせん)カフェ兼ギャラリーの「毛矢珈琲(けやコーヒー)」。「ブックカフェ」と銘打っているわけではないが、本が多い。数えてみると、2000冊以上あった。2024年の秋、初めてここに足を踏み入れた時、自分の本棚かと錯覚した。50代の私が20代の頃に読んだ本がたくさんあり、店主は同世代だろうかと思ったが、29歳だった。老成した感がある店主の木田泰地さんだが、それはこの読書量から来る雰囲気ではないかと思った。
すっかり常連になった私は今年3月、営業終了後、本について木田さんに話を聞いた。木田さんは埼玉県出身。高校時代に民俗学に興味を持ち、柳田国男を読んだ。国学院大神道文化学部に進学して日本書紀や古事記を読み、神主の作法も学んだ。在学中、中南米を一人旅し、メキシコに1年間留学もしたので、スペイン語も堪能だ。
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