欧州連合(EU)の加盟国は22日、ロシアから全面侵攻を受けるウクライナへの900億ユーロ(約16兆8000億円)の無利子融資の実行を承認した。これまでハンガリーが反対していたが、親ロシアとされるオルバン政権が4月中旬の総選挙で大敗して退陣が決まった上、ロシア産原油を国内に運ぶパイプラインを巡るウクライナとの対立も解消するめどが立ち、賛同に転じた。
EUによる融資の実行は全会一致が条件。ハンガリーは、昨年末のEU首脳会議では自国が融資に参加しないことを条件に実行自体には賛成した。しかし、今年1月にパイプラインのウクライナ区間がロシアの攻撃で損傷し、ウクライナが修理のためとして輸送を停止すると対応は一変。オルバン首相は「政治的な理由だ」と反発して輸送が再開するまで融資を承認しないと表明。3月のEU首脳会議では拒否権を使った。
だが、今月12日にあったハンガリーの総選挙でオルバン氏の与党は大敗。勝利した保守系野党のマジャル党首はEUとの協調路線を掲げ、融資も承認する姿勢を示す。新政権は5月中旬にも発足する見込みで、ハンガリーが承認に転じるのは時間の問題となっていた。
ただし、ウクライナは資金難に陥っており、EU内には融資の実行を前倒ししたい考えがあった。
こうした中、オルバン氏は19日、X(ツイッター)で「原油輸送が再開すれば融資の承認を阻止しない」と表明して態度を軟化させていた。ウクライナのゼレンスキー大統領も21日、「パイプラインの修理が完了した」とXで表明。同日夜のビデオ演説で「(融資が)阻止される理由はなくなった」と述べ、承認を促した。
融資については、21日に開かれたEU加盟国の外相級会合でも議論された。EUの外相にあたるカラス外務・安全保障政策上級代表は会合後の記者会見で、融資を巡り「今後24時間以内に前向きな決定がされると期待している」と述べていた。【ベルリン五十嵐朋子、ブリュッセル岡大介】
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