明治期には「様子の報告」程度の意味だったらしい。第一次大戦で欧州各国の戦時情報機関の重要性が認識され、英語のインテリジェンスと密接に結びついて「諜報(ちょうほう)」の同義語として使われ始めた……▲小学館の日本国語大辞典が「情報」の意味の変遷について定評ある「語誌」で解説している。昭和初期に内閣に情報委員会が置かれ、情報部、情報局と組織を拡大する中で人々の耳目にとまるようになったそうだ▲より一般的なインフォメーションと緊密に結びついたのは戦後という。平和憲法の下で諜報的な意味合いで使われることが少なくなり、こちらが定着したのだろうか▲戦後80年を過ぎて生まれる「国家情報会議」はどんな役割を果たすのか。設置法案が衆院を通過した。個人情報やプライバシーの保護、政治的中立性の確保などを盛り込んだ付帯決議を条件に野党の多くが賛成に回った▲高市早苗首相が進めるインテリジェンス機能強化に向けた第一歩で「情報収集・分析」の司令塔の位置づけだ。民主国家の多くが似た機関を持つが、扱うのは単純な「情報」ではない。言葉としては「諜報」の同義語とされた戦前に戻るようでもある▲戦後の日本が持ってこなかった対外諜報機関やスパイ防止法も視野にあるという。だが、「秘密」がつきまとう諜報活動は「公開」が原則の民主制度と元来、相性が良くない。民主国家にふさわしい組織や法が作れるのか。「高市流」のスピード重視ではなく、十分な熟議が必要なテーマである。